「ワークブック法制執務」の改訂に際して

「ワークブック法制執務」の改訂については、何人もの方が取り上げていらっしゃるのを拝見しました。やはり、法制執務に携わる者にとっては、大きな出来事であったと言えるのでしょう。
「ぎょうせい」のリーフレットでは、同書を「法制執務の最高権威書」と謳っていますが、例えば衆議院法制局第二部長の橘幸信氏が次のように述べているように、我が国の法制執務内閣法制局が定めた立法技術を中心として行われている以上、その参事官経験者が共同で執筆されている本書がそのような位置付けになるのも当然なのかもしれません。

現行法の相当部分が内閣提出によるものであるため、……議院法制局(少なくとも衆議院法制局)においては、特段の支障がない限り、基本的に内閣法制局の定めた「約束事」を尊重して立案するようにしている。(「議員立法の企画立案」大森政輔ほか『立法学講義』(P117))

同書は、その端書きによると「ぎょうせい」編集部に寄せられていた照会をもとにしていたということなので、ある程度法制執務の経験を積んだ人が対象であり、決して初心者向きとは言えないでしょう。そして、kei-zuさんが触れているように(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20071128)、検索しにくいのも事実です。同書である事項を調べたところ、記載が見当たらなかったので、書いてないと思っていたら、その後に書いてあるのを見つけたというようなこともありました。
しかし、疑問に思ったことについては大抵のことが同書に記載があったことも事実でした。だから、実際には辞書代わりに使うケースが多いのでしょうが、少なくとも1度は通読すべきでしょう。特に、法制執務が分かりかけた頃に通読すると、かなり法制執務というものが分かってくるのではないかと思います。
ちなみに、私は、まだ改訂版を目にしていません。もうしばらく楽しみに待っていることにします。