改訂版の「ワークブック法制執務」を読んで

「ワークブック法制執務」の改訂に関して2度程取り上げてきたので、ざっと読み終えた感想のようなことを記しておきます。
まず、端書きに「新人からベテランまで幅広く活用していただけるよう改善工夫を加えて」いるとありますが、例えば改正方式の基準についてまとめているなど(P340〜)、丁寧な記載がなされている箇所が増えているという印象を受けました。しかし、その影響もあってか、同じ記載が何度も出てくる箇所が多くなったのではないかという感じを受けました。
また、最近時々見かけた本則と通し条名の附則を独自の条名の附則に改めるやり方(P575〜)や、個人的に気になっていた、号において「こと」又は「とき」で終わる字句が1字の空白によりいったん区切られ、その後に更に字句が続く場合に、この「こと」又は「とき」の後には句点を付けるのか付けないのか(P648)といったことについても触れられているなど、新しい事例も取り上げられているので、一層頼りになるのではないでしょうか。
ただ、初版ということで、幾つか誤字なども気になりました。その辺りは、今後修正されていくのでしょうが、P572に一部改正法の改正規定の施行期日を書き分ける場合の書き方の例として、次のような記載があります。

この法律は、公布の日から施行する。ただし、C条及びD条の改正規定、E条の次に1条を加える改正規定、G条を削る改正規定及びH条の改正規定中「○○」の下に「××」を加える部分並びに附則第3項及び第4項の規定は、平成○○年○月○日から施行する。

ゴシックの「及び」は「並びに」にすべきではないでしょうか。
余談ですが、同じような例として、手元に平成16年版の六法全書があるのですが、そこでは、エネルギーの使用の合理化に関する法律第25条第2項は次のように記載されています。

経済産業大臣は、第12条及び第12条の5の規定の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、第一種特定事業者又は第二種特定事業者に対し、第一種エネルギー管理指定工場又は第二種エネルギー管理指定工場における業務の状況に関し報告させ、又はその職員に、第一種エネルギー管理指定工場又は第二種エネルギー管理指定工場に立ち入り、エネルギーを消費する設備、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

以前、これを見て違うのではないかと思ったことがあるのですが、次が正解です*1

経済産業大臣は、第12条及び第12条の5の規定の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、第一種特定事業者若しくは第二種特定事業者に対し、第一種エネルギー管理指定工場若しくは第二種エネルギー管理指定工場における業務の状況に関し報告させ、又はその職員に、第一種エネルギー管理指定工場若しくは第二種エネルギー管理指定工場に立ち入り、エネルギーを消費する設備、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

平成16年7月の国民年金法等の改正で40箇所の誤りがあった例もそうですが、このようなミスを発見すると、他意はないのですが、妙にほっとします。
余談が長くなりましたが、規定例はほとんど新しいものに差し替えられていますが、当然、最近は使っていないと感じていたようなものも変わっており、まさしくアップ・トゥ・デイトなものになっています。また、このブログで引用してきた部分も見直して、必要な追記をしたいと思っています。

*1:現在は、第87条になっていますが、修正されているようです。