制裁として用いる公表に関するメモ(6)

4 行政目的を達成する手段の一つとして勧告・公表を行うこととしているもの
 ○ 畜産物の価格安定に関する法律に基づく公表制度
<根拠規定>

(原料乳の価格に関する勧告)
第5条 農林水産大臣又は都道府県知事は、政令で定めるところにより、乳業者(酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律 (昭和29年法律第182号)第2条第2項の乳業を行なう者をいう。以下同じ。)が安定基準価格に達しない価格で原料乳を買い入れ、又は買い入れるおそれがあると認めるときは、当該乳業者に対し、その価格を少なくとも安定基準価格に達するまで引き上げるべき旨を勧告することができる。
2 農林水産大臣又は都道府県知事は、前項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表することができる。

<国会答弁>

○ 第5条についてでありますが、この条は、農林大臣または都道府県知事の原料乳の価格に関する勧告の規定であります。原料乳の価格維持につきましては、原料乳を直接に畜産振興事業団の買い入れ対象とせず、第43条第1号の規定を働かせ、指定乳製品の買い上げを通じて間接的に維持する仕組みとしております関係上、乳業者が原料乳の生産者に対し安定下位価格に達しない価格を支払っておりますような場合には、農林大臣又は都道府県知事は、当該乳業者に対して、その支払い価格を少なくとも安定下位価格に達するまで引き上げるべき旨の勧告をすることができることといたしまして、原料乳の安定下位価格の維持をはかろうとするものであります。第2項におきましては、この勧告をしたときは、その旨を公表できることとしまして一般世論に訴えてその実現を期することといたしております。(昭和36年10月26日第39回国会参議院農林水産委員会、森農林省畜産局長答弁)
○ ただいまのそういう5条の具体的な事例の場合におきましては、乳業者もそういう事実について世間にさらされることでもございますし、われわれとして、本法はその安定基準価格を維持するということが大きな目的でございますので、そういう事実がありますれば、そうしてかつその勧告に応じないというような事態に立ち至りますると、実は原料乳の生産、飲料牛乳の生産に対しましても、生産者と乳業者と一体となって生産に協力するということでなければならぬと存ずるわけでありまして、むしろ私どもといたしましては、そういう公表の事実ということだけではなしに、その価格を支持していく一つの場所でそういう価格がくずれますと、これは全般に及ぶ問題でありますので、特に契約を大きく事前からはっきりさしておきまして、そうしてその価格支持に努めよう、こういうわけでございますので、われわれといたしましてはその一つの方法ではございまするが、あらゆる措置を講じましてそういう乳業者も安定基準価格で買えないような事態がないように、安定基準価格で乳業者が買っていただければ、その計画が認定さえ受けておいていただければ、事業団がその製品について買うのでございますので、相当効果が発揮できて安定基準価格が維持されるものと考えておるわけであります。(昭和36年10月30日第39回国会参議院農林水産委員会、森農林省畜産局長答弁)