改正租税特別措置法の施行日

4月30日に再議決された歳入関連法案の施行日については、tihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20080501)が改正地方税法に関して取り上げていらっしゃるが、私は以前、ガソリン税暫定税率維持に関して取り上げたことがあるので(「期限の延長」、「いわゆる「ブリッジ法案」について」、改正租税特別措置法に着目して、そのことを取り上げてみることにします。
ガソリン税暫定税率が復活することについて、報道では、一般に次のとおり法案の施行日を政令で変更するように言われているようである。

政府・与党は25日、ガソリン税揮発油税など)の暫定税率を5月1日に復活させることを決めた。同税率復活を含む租税特別措置法改正案が30日の衆院本会議で再可決・成立した後、原案では4月1日となっている施行日を5月1日に変更する政令を政府が閣議決定する。
ガソリン税は製油所から出荷される際に課税される「蔵出し税」で1日の出荷分から暫定税率1リットル当たり25.1円が上乗せされる。
与党は、参院で審議中の租特法改正案について、財政金融委での委員会採決を省略して本会議で採決する「中間報告」を25日の本会議で求めたが、野党は拒否。衆院再可決が可能になる29日以前の参院採決は事実上、不可能となった。
自民党大島理森国対委員長は25日の記者会見で「究極の審議拒否だ。国民生活や地方財政の混乱を最小限に抑えるため、30日に再可決を行わざるを得ない」と明言した。(中日新聞2008年4月26日 朝刊

上記報道で触れている政令は、「所得税法等の一部を改正する法律附則第119条の2の規定による経過措置を定める政令」(平成20年政令第164号)のことだと思われる。そして、ガソリン税暫定税率が復活するのが5月1日からになることについては、次のとおり同令第14条で規定している。

揮発油税及び地方道路税の特例に関する経過措置)
第14条 新租税特別措置法第89条第2項の規定は、この政令に別段の定めがあるものを除き、改正法の公布の日の翌日(以下この条において「適用日」という。)から適用し、適用日前に課した、又は課すべきであった揮発油税及び地方道路税については、なお従前の例による。
2 平成20年4月1日から適用日の前日までの間に揮発油(租税特別措置法第88条の5に規定する揮発油をいう。以下この項及び次項において同じ。)の製造場から移出された揮発油で、揮発油税法昭和32年法律第55号)第14条第3項(同法第15条第3項及び第16条の3第3項、新租税特別措置法第89条の3第3項並びに租税特別措置法第90条第3項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の届出又は承認に係るもの(当該届出又は承認に係る揮発油税法第14条第3項各号に掲げる日が適用日以後に到来するものに限る。)について、同項各号に掲げる日までに同項に規定する書類が提出されなかった場合における当該揮発油に係る揮発油税及び地方道路税の税率は、新租税特別措置法第89条第2項の税率とする。
3 次の表の上欄に掲げる法律又は条約の規定により揮発油税及び地方道路税の免除を受けて平成20年4月1日から適用日の前日までの間に揮発油の製造場から移出され、又は保税地域(関税法(昭和29年法律第61号)第29条に規定する保税地域をいう。第5項において同じ。)から引き取られた揮発油について、適用日以後に同表の下欄に掲げる法律の規定に該当することとなった場合における当該揮発油に係る揮発油税及び地方道路税の税率は、新租税特別措置法第89条第2項の税率とする。
 (表略)
4〜6 (略)

そして、同令では第16条で改正法附則第3条以下の経過措置に関する規定について所要の読替え規定を置いているが、改正法の施行日を変更しているわけではない。
今回の事案では、国会で法の施行日を修正することができないため、結果的に施行日までに公布されなかった事態が生じたわけであり、これについては2007年10月20日付けの記事「施行日までに公布されなかった例規の施行日はどうなるか」でも取り上げたが、施行日は公布の日となることを前提としているふうである。このことは、同令の施行日が公布の日となっていることからもうかがえる。
ちなみに、同令の根拠となっている所得税法等の一部を改正する法律附則第119条の2の規定は、次のとおりである。

(この法律の公布の日が平成20年4月1日後となる場合における経過措置)
第119条の2 この法律の公布の日が平成20年4月1日後となる場合におけるこの法律による改正後のそれぞれの法律の規定の適用に関し必要な事項(この附則の規定の読替えを含む。)その他のこの法律の円滑な施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

この規定は、一部の規定について暫定的に期限の延長が図られた「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律」(平成20年法律第9号)により追加されたものであるが、このような規定を追加するのであれば、施行日も「平成20年4月1日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日」というように改正する規定を入れることが出来なかったものだろうか。