法令で委任された事項を定める例規〜次世代育成支援対策推進法施行令第2項

今回も、法令で委任された事項を定める例規の立案について取り上げる。
事例は、次世代育成支援対策推進法施行令第2項の規定に基づく規則である。
法及び政令の関係規定は、次のとおりである。

次世代育成支援対策推進法
第19条 国及び地方公共団体の機関、それらの長又はそれらの職員で政令で定めるもの(以下「特定事業主」という。)は、政令で定めるところにより、行動計画策定指針に即して、特定事業主行動計画(特定事業主が実施する次世代育成支援対策に関する計画をいう。以下この条において同じ。)を策定するものとする。
2 特定事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 計画期間
(2) 次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
(3) 実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
3 特定事業主は、特定事業主行動計画を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 特定事業主は、特定事業主行動計画に基づく措置を実施するとともに、特定事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならない。
次世代育成支援対策推進法施行令
1 次世代育成支援対策推進法(以下「法」という。)第19条第1項の国及び地方公共団体の機関、それらの長又はそれらの職員で政令で定めるものは、次の表の上欄に掲げるものとし、それぞれ同表の下欄に掲げる職員についての特定事業主行動計画を策定するものとする。
  (表略)
2 前項に規定するもののほか、法第19条第1項の地方公共団体の機関、その長又はその職員で政令で定めるものは、当該地方公共団体の規則で定めるものとし、それぞれ当該地方公共団体の規則で定める職員についての特定事業主行動計画を策定するものとする。

政令第2項の規定に基づく規則の参考例として主務省庁から示されていたものは、政令第1項と同じような書き方をしたものだった。
しかし、政令第1項は法第19条第1項を受けて書いているのだが、その委任する規定の書き方と政令第2項の規則へ委任する書き方とは異なっている。つまり、ある特定事業主がどの職員の計画を定めるかについて、政令第1項は法第19条第1項の「政令で定めるところにより」を受けて書いているが、政令第2項は「規則で定める職員」と明記しているので、委任規定を受けて書こうとすると政令第1項とはおのずと書き振りが違ってくる。
ポイントは、政令第2項は特定事業主と職員を規則で定めろと言っているので、単純にそれを受けて書くことになるのだが、特定事業主が定める計画はその者が任命している職員についてのものとしたいわけだから、その対応関係をどう書くかという部分であろう。
参考になるのは、次に掲げる地方公共団体の手数料の標準に関する政令である。

地方公共団体の手数料の標準に関する政令 
地方自治法第228条第1項の手数料について全国的に統一して定めることが特に必要と認められるものとして政令で定める事務(以下「標準事務」という。)は、次の表の上欄に掲げる事務とし、同項の当該標準事務に係る事務のうち政令で定めるもの(以下「手数料を徴収する事務」という。)は、同表の上欄に掲げる標準事務についてそれぞれ同表の中欄に掲げる事務とし、同項の政令で定める金額は、同表の中欄に掲げる手数料を徴収する事務についてそれぞれ同表の下欄に掲げる金額とする。
  (表略)
(参考)地方自治法
(分担金等に関する規制及び罰則)
第228条 分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない。この場合において、手数料について全国的に統一して定めることが特に必要と認められるものとして政令で定める事務(以下本項において「標準事務」という。)について手数料を徴収する場合においては、当該標準事務に係る事務のうち政令で定めるものにつき、政令で定める金額の手数料を徴収することを標準として条例を定めなければならない。
2・3 (略)

これを参考にすると、次のような書き方になるだろう。

次世代育成支援対策推進法施行令‥‥第2項の‥‥規則で定めるもの(以下「特定事業主」という。)は、次の表の左欄に掲げる特定事業主とし、同項の規則で定める職員は、同表の左欄に掲げる特定事業主についてそれぞれ同表の右欄に掲げる職員とする。
(表略)

<追記>
2008年6月8日付けの記事で、内容を一部訂正しています。