1時間未満の年休を取得させるための規定

1日の勤務時間を8時間から7時間45分に改めたときに、年休について1時間単位の取得を認めていると、通常は7時間45分をもって1日と換算することになることから、その残日数に1時間未満の端数が生じることがある。この場合に自治体においては、労働基準法との兼ね合いで、残日数のすべてを使用するときには、この端数も使用させることができることとするのが一般的だと思う。
このことを定めるため、規則等における年休の単位の規定において、次のただし書のような規定を置くケースが多いようである。

第○条 年次有給休暇の単位は、1日又は1時間とする。ただし、年次有給休暇の残日数のすべてを使用しようとする場合において、当該残日数に1時間未満の端数があるときは、当該残日数のすべてを使用することができる。

この規定について規定例が出されているのかどうかは分からないが、国においても、特別休暇についてだが、人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第22条第2項ただし書に同様の規定があるため、それにならっているということであろうか。そうすると、上記のような規定振りとするのが、普通の選択になってくるのだろう。
しかし、この規定は単位を定めている規定なのに、そのような書き方になっていないとか、「すべてを使用しようとする場合において……すべてを使用することができる」といった書き方になっていることなど、幾つか気になる点があることも事実である。
そこで、こうした問題点を解消するための書き振りを考えてみることにする。
まず、単位を定める規定であるということを重視すると、次のような書き方とすることが考えられる。

第○条 年次有給休暇の単位は、1日又は1時間とする。
2 前項に規定するもののほか、年次有給休暇の残日数に1時間未満の端数があるときは、当該端数の時間を年次有給休暇の単位とする。ただし、当該端数の時間を単位とした年次有給休暇の使用は、当該残日数のすべてを使用する場合に限る。

上記の人事院規則にならった例のような書き方を生かすのであれば、次のように本文も少し改めた上で書くことも考えられる。

第○条 年次有給休暇は、1日又は1時間を単位として使用するものとする。ただし、年次有給休暇の残日数に1時間未満の端数がある場合には、当該残日数のすべてを使用しようとするときに限り、当該端数の時間を単位としても使用することができる。

以上のとおりであるが、念のため繰り返すと、これらは、何も見本がないときに私ならどのように書くか考えてみたものである。仮に、原課の原案が上記の人事院規則にならった例として掲げたものであって、私がそれを審査するのであれば、人事院規則にならって書いている以上、あまりよくないと言いながらOKにしてしまうのだろう。