共通見出しに関する改正

kei-zuさんが共通見出しに関する改正について取り上げていらっしゃたので(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090814)、私も少し触れてみることにします。
共通見出しを付けた条を追加する場合は、「第○条の次に次の見出し及び○条を加える」といった方法がとられる(石毛正純『法制執務詳解(新版)』(P330〜)参照)。これは、共通見出しはその直後の条にのみ従属するものではないという考え方によるものであるが、次のような例もある。

健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号) 
(健康保険法の一部改正)
第1条 健康保険法(大正11年法律第70号)の一部を次のように改正する。
 (略)
第4章中第69条の次に次の18条、3款及び4節を加える。
 (略)

この改正で第69条の次に第70条から第87条までを追加しているが、そのうち第74条の前の見出しは共通見出しになっているにも関わらず、特別な改正方法を用いていない。このような改正方法としたのは意図的かどうかは分からないが、私は、「第4章中第69条の次に次の4条、見出し、14条、3款及び4節を加える」というような改正方法を用いて欲しいと思うところである。
ところで、共通見出しが付されている直後の条を削って後の条を繰り上げる場合や、共通見出しが付されている直後の条を共通見出しとともに繰り下げる場合には、一旦共通見出しを削った後に共通見出しを付け直すという方式がとられる。これは、上述のとおり共通見出しはその直後の条にのみ従属するものではないため、共通見出しの位置に疑義が生じないようにするためである(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P446)、石毛正純『法制執務詳解(新版)』(P322)参照)。
では、第2条の前の見出しが共通見出しの場合で、その共通見出しは改正せずに、第2条を全部改正する場合は、どのようにすべきだろうか。理論上は、第2条の前の見出しは同条には属さないわけだから、単に「第2条を次のように改める」とだけすればよいのかもしれないが、私は、共通見出しがどのようになるのか(第2条の前の見出しを削ってしまうつもりなのか)といった疑義を生じさせることがないように、次のように見出しを付け替えたほうがよいのではないかと思う。*1

第2条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。
第2条 ……。 
第2条の前に見出しとして「(○○○)」を付する。

*1:改正方法としては、(1)共通見出しを削る→(2)共通見出しを付する→(3)第2条の全部改正とする方法も考えられるが、「災害対策基本法の一部を改正する法律(平成7年法律第110号)」で、削ったのは共通見出しではないのだが、(1)第76条の見出しを削る→(2)第76条の全部改正→(3)第76条の前に共通見出しを付するとしている例があるので、それに準じた。