罰則規定の表記(下)

罰則規定について、同じ内容を規定していると思われるのに表記が異なっている例として、次のように標識を掲示する義務に違反する場合の規定例がある。

信託業法(平成16年法律第154号)
(標識の掲示
第72条 信託契約代理店は、信託契約代理業を営む営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、内閣府令で定める様式の標識を掲示しなければならない。
2 (略)
第97条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)〜(9) (略)
(10)第72条第1項の規定に違反した者
(11)・(12) (略)
食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号)
(標識の掲示
第14条 登録再生利用事業者は、当該登録に係る再生利用事業を行う事業場ごとに、公衆の見やすい場所に、主務省令で定める様式の標識を掲示しなければならない。
第28条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)・(2) (略)
(3) 第14条の規定による標識を掲示しなかった者
(4)〜(6) (略)

あえて両者の違いを理屈づけようとすると、例えば、標識を掲示したけれども、それが公衆の見やすい場所ではなかった場合には、信託業法だと処罰されるが、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律だと処罰されないことになりそうである。しかし、実際にはそこまでは意識してはおらず、単に参考にした規定例の表記の違いだけのように思う。
そうだとすると、どちらが疑義を生じることがないかといえば、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律のような書き方のほうではないだろうか。