例規の立案で間違いやすい例(8)
久しぶりになりますが、このシリーズを書くのにふさわしい事例を見かけました。
新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令の一部を改正する省令(平成22年厚生労働省令・経済産業省令・環境省令第1号)
第1条 新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令(昭和49年厚生省令・通商産業省令第1号)*1の一部を次のように改正する。
(略)
様式第1中「新規化学物質製造(輸入)届出書」を「新規化学物質製造・輸入届出書」に改め、同様式備考中2を削り、3を2とし、4を3とし、5を4とし、6中「様式第10」を「様式第11」に改め、6を5とし、7を6とし、8を7とする。
上記は備考の移動の例だが、条においても項などの移動の場合に「第○条中第○項を第×項とし、……」というような形で改め文を簡略化することは認められている。
しかし、この「……中」は、重ねて用いられることはない。上記の例では、様式備考の6の字句を改める部分が、「同様式備考中……6中「様式第10」を「様式第11」に改め、……」となり、適当でない。
この省令をできるだけ「……中」という形で書こうとすると、「……同様式備考中2を削り、3を2とし、4を3とし、5を4とし、同様式備考6中「様式第10」を「様式第11」に改め、同様式備考中6を5とし、7を6とし、8を7とする。」となるのではないだろうか。
ちなみに、古い法律では、次のような例もある。
船舶積量測度法の一部を改正する法律(昭和30年法律第23号)
(略)
第6条第1項中第2号を第3号とし、同号中「前号」を「前2号」に改め、ただし書を削り、第1号を第2号とし、第1号として次の1号を加える。
(1) (略)
これは、あまりにも……。
(参考) 「例規で間違いやすい例」の記事一覧
- 2008年1月18日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(1)」
- 2008年2月1日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(2)」
- 2008年6月27日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(3)」
- 2008年10月10日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(4)」
- 2008年11月14日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(5)」
- 2008年11月28日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(6)」
- 2008年12月26日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(7)」
*1:共同省令のため、省令番号の表記の仕方を多少変えている。