法令の名称の略称

長い題名の法令を引用する場合に、その略称を置くことはよくあることである*1
その略称をどのようなものにするかについては、明確なルールはないように感じている。
さらに、次の例のように、租税特別措置法という一の法律の中で、「投資信託及び投資法人に関する法律」という同じ法律について異なる略称を用いているものもある。

租税特別措置法昭和32年法律第26号)
投資法人に係る課税の特例)
第67条の15 投資信託及び投資法人に関する法律(以下この条において「投資法人」という。)第2条第12項に規定する投資法人(第1号に掲げる要件を満たすものに限る。)が支払う投資法人法第137条第1項の規定による金銭の分配のうち利益の配当から成る部分の金額(法人税法第24条の規定により利益の配当とみなされる金額その他の政令で定める金額を含む。以下この条において「配当等の額」という。)で第2号に掲げる要件を満たす事業年度(以下この項において「適用事業年度」という。)に係るものは、当該適用事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。ただし、その配当等の額が当該適用事業年度の所得の金額として政令で定める金額を超える場合には、その損金の額に算入する金額は、当該政令で定める金額を限度とする。
(1)・(2) (略)
2〜10 (略)
(特定投資信託に係る受託法人の課税の特例)
第68条の3の3 特定投資信託投資信託及び投資法人に関する法律(第1号において「投資信託」という。)第2条第3項に規定する投資信託のうち、法人課税信託に該当するものをいう。以下この条において同じ。)のうち第1号に掲げる要件を満たすものの収益の分配の額として政令で定める金額(以下この条において「収益の分配の額」という。)で当該特定投資信託に係る受託法人(法人税法第4条の7に規定する受託法人(第2条の2第3項において準用する同法第4条の7第1号の規定により内国法人としてこの法律の規定を適用するものに限る。)をいう。次項から第5項までにおいて同じ。)の第2号に掲げる要件を満たす事業年度に係るものは、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。ただし、その収益の分配の額が当該事業年度の所得の金額として政令で定める金額を超える場合には、その損金の額に算入する金額は、当該政令で定める金額を限度とする。
(1)・(2) (略)
2〜12 (略)

租税特別措置法第67条の15は、投資法人に関する規定であり、同法第第68条の3の3は、投資信託に関する規定であるから、このように略称も異なるものになったのであろうか。
もともと税法は、大部ということもあってか、法全体の書きぶりについて整合を図るということについて、それほど配慮していない感じがするのだが、ここまではっきりと異なる書き方をされると、やはり気持ちが悪いものである。

*1:一般的な略称の置き方としては、2009年9月4日付け記事「『Aその他のBであってC』の略称(上)」における、大島稔彦『法令起案マニュアル』を引用している部分を参照