複数の条等に同じ内容の後段を設ける例

例規の一部改正で、同一の語の改正のみが数条にわたるときには、他の改正が中途に加わらない限り、まとめて「第A条、第B条及び第C条中「○○」を「××」に改める」とすることとされている(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務P350))。
では、これが、語句の改正ではなく、後段の追加の場合もまとめて行ってよいのであろうか。
条建てになっていない附則における項に後段を追加した例であるが、次のようにまとめて改正した例がある。

学校教育法等の一部を改正する法律(平成10年法律第101号)
附 則 
(日本育英会法の一部を改正する法律の一部改正)
第45条 日本育英会法の一部を改正する法律(平成10年法律第28号)の一部を次のように改正する。
附則第2項及び第3項に後段として次のように加える。
この場合において、改正前の日本育英会法第24条中「高等学校」とあるのは、「高等学校、中等教育学校」とする。

これに対し、次のようにまとめていない例もある。

地方税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第4号) 
地方税法の一部改正)
第1条 地方税法(昭和25年法律第226号)の一部を次のように改正する。
   (略)
第605条に後段として次のように加える。   
この場合において、政府が行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第4条第1項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して当該関係書類を閲覧させ、又は記録させるときは、情報通信の技術の利用における安全性及び信頼性を確保するために必要な基準として総務省令で定める基準に従つて行うものとする。  
第701条の55第1項に後段として次のように加える。 
この場合において、政府が行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第4条第1項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して当該関係書類を閲覧させ、又は記録させるときは、情報通信の技術の利用における安全性及び信頼性を確保するために必要な基準として総務省令で定める基準に従つて行うものとする。

合理性を重視するならば、まとめて改正するという方向にいくのだろうが、後段の追加をまとめて行うということに、何となく違和感がなくもない。
いずれにしろ、統一的な扱いがされていない改正方法の例なのではないだろうか。