現在では用いられない改正方法(4)

今回は、条等の移動について、現在では用いられない改正方法を取り上げる。
まず、条等の移動の場合の改正方法の原則を確認しておく。法制執務研究会『新訂ワークブック』(P459)には、条等の繰下げの場合であるが、次のように記載されている。

繰下げは、原則として「第E条を第G条とする」という方式により、「第E条を2条繰り下げる」等の方式はとらない。しかしながら、字句の改正を行うことなく連続する4以上の条、項又は号を繰り下げる場合には、「第E条を第G条とし、第B条から第D条までを2条ずつ繰り下げる」というように、最後尾のものについては原則どおりの繰下げを行い、その前の3以上の条、項又は号については一括して繰下げを行う。

条等の繰上げの場合には、逆に考えればよいわけである。
この記載の前段の部分に反する改正方法としては、次のような例がある。

<例1>
地方交付税法の一部を改正する法律(昭和45年法律第51号)
   附 則
6 交付税及び譲与税配付金特別会計法(昭和29年法律第103号)の一部を次のように改正する。 
附則第22項中……を削り、附則第28項中「附則第9項」を「附則第13項」に改め、附則中同項以下を2項ずつ繰り下げ、第27項の次に次の2項を加える。 
28・29 (略)
<例2>
国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律(昭和36年法律第152号)
   附 則
医療金融公庫法の一部改正)
第21条 医療金融公庫法(昭和35年法律第95号)の一部を次のように改正する。  
附則第10項から第15項までを削り、以下6項ずつ繰り上げる。
<例3>
工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律(昭和36年法律第107号)
   (略)
第11条第2項中……に改め、同項を第18条とし、第11条第1項中……に改め、同項を第16条とし、同条の次に次の1条を加える。
第17条 (略) 
第8条から第10条までを5条ずつ繰り下げる。