防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否

山岳遭難者にヘリ費用請求…埼玉県、条例成立へ
山岳救助で防災ヘリコプターが出動した場合、遭難者に費用を請求できるようにする条例が、埼玉県議会で成立する見通しとなった。
登山ブームで山岳救助件数は増加傾向にあり、費用請求を可能とすることで安易な入山を防ぐことが狙いだ。最大会派の自民党県議団が条例案を提案する方針を固めたもので、可決されれば、費用負担を求める条例は全国初となる。
条例案では、県内で防災ヘリが山岳遭難などで緊急出動した際、「知事は要した費用の負担を被救助者に求めることができる」と規定。「被救助者の責めに帰すべきと認められない」場合は対象外としている。費用負担の詳細な範囲や条件については今後、別に運用規則を定める方針。(2010年10月13日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101013-OYT1T00712.htm

防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの是非についてはいろいろ意見があるところであり、私自身は、求めるべきという意見があることは、ある意味当然なのではないかと感じる。
しかし、どのような形で負担を求めるかというと、なかなか難しい問題がありそうである。
強制的に費用負担を求めるのであれば、地方自治法その他の法律に根拠がなければいけないという考え方が一般的であるかと思う。
では、どのような種類の収入にするかというと、分担金(地方自治法第224条参照)ではおかしい感じがするし、他の報道によると人件費は求めないということのようであるから、手数料(同法第227条参照)というのもしっくりこない。
使用料(同法225条参照)とするのが一番しっくりはくるのだが、ヘリコプターが公の施設といえるかというと疑問がなくはない。
ところで、人件費を求めないのであれば、図書館等で資料のコピー代を求める場合のように、実費徴収という方法とすればいいのではないかとも感じる。しかし、この実費徴収の基本的な法律関係は、私法上の契約関係と考えられていることからすると(実務地方自治研究会『Q&A実務地方自治法』(P3159)参照)、住民の救助は警察の本来的な業務だとすれば、実費徴収とすることには問題があるだろう。
埼玉県は、どのように整理しているのだろうか。