表の一部分の特定の仕方(上)

少し前になりますが、半鐘さん(http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-379.html)が、一部改正における表の細分の特定の仕方について取り上げておられました。
私も例規における表(別表)の一部分の特定の仕方に悩むことがあったのですが、それは、表にはいろいろな種類のものがあり、必ずしも統一的なルールによっているというわけではないことによるのではないかと思います。そこで、3回にわたり、法令においては表の一部分の特定をどのようにしているのか取り上げることにします。今回と次回は表の項の特定の仕方について、3回目はそれ以外の特定の仕方について触れます。
最初に、法令の数字の引用をどのようにするか定義しておく。原則として漢数字は算用数字に置き換えるが、表を「一」「二」……というように細分しているその数字をそのまま引用する場合には、そのまま漢数字で引用する。
表の「項」については、横書きの例規の場合でいうと、横の線で区画されている区切りのことをいい、その表側の文言を引用して「○○の項」と呼ぶこととされていることは、改めていうまでもないだろう。
そして、法律の場合、この「○○」の部分、つまり表側(法律は縦書きなので、実際には表頭となる。以下同じ。)に番号の欄を設けるなどして、「一」「二」……と漢数字で番号を付けているものが多い。横書きの場合であると、「(1)」「(2)」……と数字を括弧書きにすることになる*1
このように、番号を付した場合、この「項」を(1)「○の項」と呼ぶ場合、(2)「第○号」と呼ぶ場合がある。なお、線の区切りがなく、漢数字で項目を列挙しているような場合は、(3)「第○号」と呼ぶのが通常である。次に掲げる法律の場合、登録免許税別表第1は(2)の例*2住民基本台帳法別表第1は(1)の例、同法別表第5は(3)の例である。

銀行法等の一部を改正する法律(平成17年法律第106号)
附 則
登録免許税法の一部改正)
第29条 登録免許税法(昭和42年法律第35号)の一部を次のように改正する。  
別表第1第24号(三)に次のように加える。
    (略)
住民基本台帳法の一部改正)
第30条 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)の一部を次のように改正する。  
別表第1の一の項の次に次のように加える。
    (略)
別表第5中第11号を削り、第10号を第11号とし、第2号から第9号までを1号ずつ繰り下げ、第1号の次に次のように加える。
    (略)

ちなみに、表側に番号を付けた表の改正において、その番号の繰上げ・繰下げを行う場合には、次のように一部改正条等と同じようにまとめて移動することが行われている。

道路交通法施行令の一部を改正する政令(平成21年政令第291号)
   (略)
別表第6中十六の項を二十の項とし、十二の項から十五の項までを4項ずつ繰り下げ、同表の十一の項中……に改め、同項を同表の十五の項とし、同表の十の項中……に改め、同項を同表の十三の項とし、同項の次に次のように加える。
   (略)
銀行法等の一部を改正する法律(平成17年法律第106号)
附 則
登録免許税法の一部改正)
第29条 登録免許税法(昭和42年法律第35号)の一部を次のように改正する。
   (略)
別表第1第24号の6を同表第24号の7とし、同表第24号の2から第24号の5までを1号ずつ繰り下げ、同表第24号の次に次のように加える。
   (略)

なお、上記の例からも分かるように、表に項を加える場合には、「次の1項を加える」とか「次の1号を加える」とかせずに、「次のように加える」としている*3。これは、線の区切りがない表の場合も同様である(上記の平成17年法律第106号第30条の住民基本台帳法別表第5の改正規定を参照)。

*1:このようにすると、表の一部分の特定が容易になるので、表を改正することを考えた場合に推奨できる書き方である。

*2:登録免許税別表第1は、番号だけの欄としているわけではないが、番号だけで欄を設けている表の項を「第○号」と呼んでいるものに構造改革特別区域法別表がある。

*3:ただし、古い法令では、「次の1項を加える」としている例もある(昭和32年法律第174号等を参照)。