議会に提出したが成立しなかった条例案

自治体において執行部が提出した条例案が議会で成立しないことは、今はそれ程珍しいことではないのかもしれないが、一昔前は想像できなかったことであり、それが起きれば大事件であっただろう。
西寺雅也前岐阜県多治見市長の御著書『自律自治体の形成』(P218)に、多治見市が2005年9月議会に提出された「自治体基本条例案」が議会で否決されたときの記述の中で、「ちなみに執行部提出の条例案が本会議で否決された多治見市政史上最初の事例となった」という文章が括弧書きで記載されているが、それは苦い経験であったとされている。
ところで、私が実際に例規審査を担当した条例案が議会で成立しなかった件数は、結構多かったように感じていたのだが、上記著書の記載を拝見して改めて数えてみると、10本あった。その内訳は、否決3本、撤回6本、廃案1本である。
そのほかに、議会で修正されて可決されたものもある。また、担当したもの以外で何らかの関係があったものまで含めると、もう少し件数は多くなる。議会の審議の動向を踏まえて、修正案まで用意したこともあった。
機会があれば、これらの経験をした際に感じたことなどを記載してみたいと思うが、少なくともこのような体験があったから、このようなブログを書いているのだろう。