定住自立圏構想(上)

新しい広域行政のためのスキームとして、定住自立圏構想が推進されている。3月14日現在、49圏域で定住自立圏の取組が行われている。
定住自立圏構想とは、総務省のホームページによると、次のとおりである。

定住自立圏は、地方圏において、三大都市圏と並ぶ人口定住の受け皿として形成される圏域です。 
定住自立圏の形成にあたっては、医療や買い物など住民生活に必要な機能について一定の集積があり、周辺の市町村の住民もその機能を活用しているような都市が「中心市」となり、 圏域全体において中心的な役割を担うことを想定しています。 
中心市」が周辺の市町村と役割分担した上で、NPOや企業など民間の担い手とも連携して生活機能の確保のための事業を実施し、人口定住を図っていきます。具体的には、次のような手順を経ることを想定しています。
(1) 一定の要件を満たす「中心市」が「中心市宣言」により圏域における定住自立圏形成に向けた中心的な役割を担う意思を表明する。
(2) 中心市宣言を行った市が、住民生活等において密接な関係を有する周辺の市町村との間で、議会の議決を経た上で、1対1で「定住自立圏形成協定」を締結し、人口定住のために必要な生活機能を確保するための相互の役割分担を決める。
(3) 中心市が、生活機能確保の役割を担う民間や地域の関係者、圏域住民で構成する「圏域共生ビジョン懇談会」での検討を経て、協定締結した他の市町村との協議の上、「定住自立圏共生ビジョン」(おおむね5年を想定)を策定し、圏域の将来像や、具体的な取組内容及びその成果を決める。
(4) 「定住自立圏共生ビジョン」に基づき、中心市及び周辺市町村が役割分担した上で、具体的な取組を展開する。
(5) 「定住自立圏共生ビジョン」は、取組の成果を勘案しながら、毎年度見直す。 
広域的な市町村合併を行った、一定の要件を満たす合併市は、一市で定住自立圏を形成することが考えられ、そのための手順も想定しています(上記(2)の「定住自立圏形成協定」の締結が、「定住自立圏形成方針」の策定となります。) 
また、定住自立圏に関する取組は、市町村が自主的に行うものであり、その手続に際して国への事前の申請や国の承認を必要としません。 
なお、「定住自立圏共生ビジョン」に基づく取組に伴う財政需要について、一定の財政措置を講じています。

定住自立圏構想は、法令に基づく制度ではなく、定住自立圏構想推進要綱(平成20年12月26日総行応第39号)という要綱に基づく制度である。総務省は、法令ではなく、要綱に基づく制度とすることで、弾力的な運用ができるとしている。
この制度に対し、否定的な考えを持っているわけではないが、要綱の制度であるためか、そのスキームに関して気になる点がある。その点については次回に触れることとし、その後に若干の感想を記載することにする。