公の施設設置条例の利用料金に関する規定から

ある市では、野球場、運動場、テニスコートマレットゴルフ場、体育館、プール等の各種の体育施設を一本の条例で設置し、指定管理者制度及び利用料金制をとっている。そして、その利用料金に関する規定は、次のようになっている。

(利用料金)
第8条 体育施設の使用の許可を受けた者(以下「使用者」という。)は、別表第2に定める利用料金を指定管理者に納付しなければならない。
2 市内に住所を有しない個人又は市内に事務所若しくは事業所を有しない団体が使用する場合の利用料金は、別表第2に定める利用料金の額に、年間入場券及び会員利用券の区分の使用にあっては100分の120を、専用使用の区分の使用にあっては100分の200を乗じて得た額(この額に10円未満の端数のあるときは、切り捨てる。)とする。
3 前2項の規定により納付された利用料金は、指定管理者の収入とする。

気になったのは、第2項の規定である。この書き方だと、料金形態が専用使用の区分と年間入場券及び会員利用券の区分しかないように見える。しかし、例えば体育施設を個人が使用する場合は、使用するごとに使用料を払って他の使用者と一緒に使用するのが通常だろう。この条例にも、例えば屋内運動場については、「専用使用」と「個人使用」という大きな区分があって、「個人使用」には、「入場券」と「年間入場券」の区分があり、入場券による使用が一般的であろう。
では、どのように書くべきかであるが、この規定で言いたいことは、市内に住所を有しない者等が、年間入場券等により使用する場合と専用使用をする場合には、市内に住所を有する者等より高い使用料を課すこととしたいということであるから、私なら次のように書くのではないかと思う。

市内に住所を有しない個人又は市内に事務所若しくは事業所を有しない団体が体育施設を年間入場券若しくは会員利用券により使用する場合又は専用使用をする場合における利用料金は、これらの使用に係る別表第2に定める利用料金の額に、年間入場券又は会員利用券により使用する場合にあっては100分の120を、専用使用をする場合にあっては100分の200を乗じて得た額(これらの額に10円未満の端数のあるときは、これを切り捨てる。)とする。

その他、細かくなるが気がついた点を2点程挙げる。
まず、「年間入場券及び会員利用券の区分」と「及び」で結んでいる部分である。これは「又は」にするか、「年間入場券の区分及び会員利用券の区分」とすべきだろう。
次に、「この額に10円未満の端数のあるときは、切り捨てる。」としている部分である。前後関係で分かるのではあるが、文章だけを見ると何を切り捨てるのか書いていない。用例としては、次のようなものがあり、上記では「これを〜」としたが、「その端数は、〜」としている例もある。

石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号)
(一般拠出金の額)
第37条 (略)
2 第35条第2項の規定により船舶所有者から徴収する一般拠出金(以下「第2項一般拠出金」という。)の額は、前年度において当該船舶所有者が使用するすべての船員に支払われた賃金の総額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に一般拠出金率を乗じて得た額とする。
3・4 (略)
会社法(平成17年法律第86号)
(譲渡しの申込み)
第159条 (略)
2 株式会社は、第157条第1項第4号の期日において、前項の株主が申込みをした株式の譲受けを承諾したものとみなす。ただし、同項の株主が申込みをした株式の総数(以下この項において「申込総数」という。)が同条第1項第1号の数(以下この項において「取得総数」という。)を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に前項の株主が申込みをした株式の数を乗じて得た数(その数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)の株式の譲受けを承諾したものとみなす。