地域主権改革一括法を受けた条例の規定内容〜目的規定を中心にして(上)

前回(2012年1月14日付け記事「出先機関の事務の一部の管轄区域を異なったものとすること」)取り上げた、小泉祐一郎『地域主権改革一括法の解説』は、各分野ごとの例規の整備方針等について記載している。
このなかで、どのような事項を条例事項とし、規則事項とし、あるいは要領等に規定するかという点については、参考になると思う。
しかし、具体的な規定例の書きぶりは、いかがかと思う点が多い。著者は、今回の分権改革に係る対応においては、条例に法令で委任された事項のみを定めるのではなく、各分野における政策の基本となる事項を併せて定めることなどにより、例規の体系化を図ることを目指しているようであるが、実際の条例の規定内容がその目指すところまで至っていないため、目的は立派だが中味が伴わない、全体としていかがかと感じてしまうものになってしまっている。
具体的に、前掲書(P161〜)に記載されている道路条例を見ていくことにする。
著者は、道路条例試案の目的規定は道路法の目的規定を参考にすることを提案している。しかし、言うまでもないことだが、目的規定は、その例規の規定内容によって決まるもので、単に法律の書きぶりを真似ればいいというものではない。
道路法の目的規定は、次のとおりである。

(この法律の目的)
第1条 この法律は、道路網の整備を図るため、道路に関して、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め、もつて交通の発達に寄与し、公共の福祉を増進することを目的とする。

そして、道路法の規定事項であるが、同法の目次は次のとおりである。

第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 一般国道等の意義並びに路線の指定及び認定(第5条―第11条)
第3章 道路の管理
 第1節 道路管理者(第12条―第28条)
 第2節 道路の構造(第29条―第31条)
 第3節 道路の占用(第32条―第41条)
 第4節 道路の保全等(第42条―第47条の5)
 第4節の2 道路の立体的区域(第47条の6―第48条)
 第5節 自動車専用道路(第48条の2―第48条の12)
 第6節 自転車専用道路等(第48条の13―第48条の16)
 第7節 利便施設協定(第48条の17―第48条の19)
第4章 道路に関する費用、収入及び公用負担(第49条―第70条)
第5章 監督(第71条―第78条)
第6章 社会資本整備審議会の調査審議等(第79条―第84条)
第7章 雑則(第85条―第98条の2)
第8章 罰則(第99条―第107条)
附則

この目次を見ると、道路の構造や保全は道路の管理の章の内容になっているので、目的規定のうち、「……道路に関して、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め……」の部分は、「道路に関して、路線の指定及び認定、管理、費用の負担区分等に関する事項を定め」としてもいいとは思うが、目的規定と規定内容との間で違和感はない。
これに対し、前掲書における条例試案がどのようになっているかであるが、それは次回に記載する。