改正規定の一部について施行期日を異ならせる場合の珍しい例

現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための地方税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第83号)
地方税法の一部改正)
第1条 地方税法(昭和25年法律第226号)の一部を次のように改正する。
   (略)
第23条第1項第4号中……に改め、同項第4号の3中「(租税特別措置法第68条の9」の下に「及び第68条の15」を加え、「及び租税特別措置法第68条の9」を「並びに租税特別措置法第68条の9、第68条の15及び第68条の15の2」に改め、同項第4号の4中……を加え、同項第8号中……に改める。
   (略)
附 則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(1)〜(5) (略)
(6) 第1条中地方税法第23条第1項第4号の改正規定(「第42条の4」の下に「、第42条の11(同条第1項、第6項及び第7項を除く。)」を加える部分に限る。)、同項第4号の3の改正規定(「(租税特別措置法第68条の9」の下に「及び第68条の15」を加える部分及び「及び租税特別措置法第68条の9」を「並びに租税特別措置法第68条の9、第68条の15及び第68条の15の2」に改める部分中「 、第68条の15」に係る部分に限る。)、同法第292条第1項第4号の改正規定(「第42条の4」の下に「、第42条の11(同条第1項、第6項及び第7項を除く。)」を加える部分に限る。)及び同項第4号の3の改正規定(「(租税特別措置法第68条の9」の下に「及び第68条の15」を加える部分及び「及び租税特別措置法第68条の9」を「並びに租税特別措置法第68条の9、第68条の15及び第68条の15の2」に改める部分中「、第68条の15」に係る部分に限る。) 総合特別区域法(平成23年法律第81号)の施行の日
(7)〜(12) (略)

平成23年法律第83号の施行期日は、同法の公布の日である平成23年6月30日(以下「施行日」という。)であり、同法第1条第6号で地方税法第23条第1項第4号の3の改正規定の一部の施行期日を総合特別区域法の施行の日である平成23年8月1日(以下「一部施行日」という。)*1としているが、太字の部分のような書き方は、あまり見かけない例である。
具体的に地方税法第23条がどのように改正されていくか見てみることにする。
まず、一部施行日後の地方税法第23条は、次のようになる。

道府県民税に関する用語の意義)
第23条 道府県民税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)〜(4)の2 (略)
(4)の3 調整前個別帰属法人税額 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める額をいう。
イ 連結法人(法人税法第2条第12号の7の4に規定する連結法人をいう。以下この節において同じ。)の同法第81条の18第1項の規定により計算される法人税の負担額として帰せられる金額があるとき 当該法人税の負担額として帰せられる金額(租税特別措置法第68条の9及び第68条の15の規定により加算された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額がある場合にあつては、当該法人税の負担額として帰せられる金額から当該相当する金額を差し引いた額)に同項第2号から第4号までに掲げる金額並びに租税特別措置法第68条の9、第68条の15及び第68条の15の2の規定により控除された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額の合計額を加算した額
ロ 連結法人の法人税法第81条の18第1項の規定により計算される法人税の減少額として帰せられる金額があるとき 当該法人税の減少額として帰せられる金額(租税特別措置法第68条の9及び第68条の15の規定により加算された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額がある場合にあつては、当該法人税の減少額として帰せられる金額に当該相当する金額を加算した額)を同項第2号から第4号までに掲げる金額並びに租税特別措置法第68条の9、第68条の15及び第68条の15の2の規定により控除された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額の合計額から差し引いた額
(4)の4〜(16) (略)
2〜4 (略)

そして、施行日から一部施行日までの間の地方税法第23条は、次のとおりである。

道府県民税に関する用語の意義)
第23条 道府県民税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)〜(4)の2 (略)
(4)の3 調整前個別帰属法人税額 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める額をいう。
イ 連結法人(法人税法第2条第12号の7の4に規定する連結法人をいう。以下この節において同じ。)の同法第81条の18第1項の規定により計算される法人税の負担額として帰せられる金額があるとき 当該法人税の負担額として帰せられる金額(租税特別措置法第68条の9の規定により加算された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額がある場合にあつては、当該法人税の負担額として帰せられる金額から当該相当する金額を差し引いた額)に同項第2号から第4号までに掲げる金額並びに租税特別措置法第68条の9及び第68条の15の2の規定により控除された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額の合計額を加算した額
ロ 連結法人の法人税法第81条の18第1項の規定により計算される法人税の減少額として帰せられる金額があるとき 当該法人税の減少額として帰せられる金額(租税特別措置法第68条の9の規定により加算された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額がある場合にあつては、当該法人税の減少額として帰せられる金額に当該相当する金額を加算した額)を同項第2号から第4号までに掲げる金額並びに租税特別措置法第68条の9及び第68条の15の2の規定により控除された金額のうち当該連結法人に係る金額に相当する金額の合計額から差し引いた額
(4)の4〜(16) (略)
2〜4 (略)

今回取り上げた事例のような場合は、まず二段ロケットの方法によることを考えるのが通常であろうが、同じ箇所を2度改める必要がなく、さらに上記のように一部施行日までの間も文章としてきちんと成り立つのであれば、このように施行期日を書き分ける方法もありなのであろう。

*1:総合特別区域法の施行期日を定める政令平成23年政令第242号)による。