「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」と地方公務員の給与(上)

既に幾人かの方が取り上げておられるが、厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性から、国家公務員に対する給与を平成26年3月31日までの間減額して支給する措置を講ずることなどを内容とする「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成24年法律第2号。以下「法」という。)」が2月29日に公布されたが、法附則第12条で「地方公務員の給与については、地方公務員法(昭和25年法律第261号)及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする」と規定している。
この規定は、それなりのことを定めているように見えて、よく見ると何を言っているのか分からない規定である。そこで、国会における議論から、改めてこの規定の意味を考えてみることにする。
今回は、その規定の内容とは直接関係がないが、地方公務員の給与の問題は附帯決議で触れるというような報道がなされていたこともあったが、最終的には法の附則で盛り込まれることになった経過について見てみることにする。この点について、国会で次のような議論が行われている。

<第180回国会衆議院総務委員会(平成24年2月23日)>
重野委員 ……次に、地方などへの波及についてお尋ねいたします。
その前に、まず確認とそれに関連した質問を行いますが、2月21日、3党実務者協議で覚書が交わされたと報道されています。その中で、地方への波及について、国会審議の場で引き続き3党間で協議するとの文言があったと聞いています。まずそれを確認いたします、事実かどうか。
この総務委員会はまさに国会審議の場の一つでありますが、ここには3党しか存在しないのか、あるいはその他の政党は国会審議の場においても無視をするということか、3党それぞれに、この文言の意味を説明していただきたい。
稲見議員 提案者を代表してお答えをいたします。(重野委員「3党それぞれと言ったんです」と呼ぶ)では、民主党の代表です。
21日の覚書があるのは確かでございます。それは、21日の朝になっても地方波及の点では合意を得られない、しかし法案提出を急ぎたいということで、その地方波及のところを除いて法案提出、各党党内協議を行おうという覚書でございます。
言葉の表現として、国会審議の場においてという言葉があることは確かでありますが、取り紛れた、非常に急いだ中でありましたので、意味理解としては、国会審議の場までに3党で引き続き協議をしよう、こういうことであったというふうにぜひ御理解いただきたいと思います。
石田(真)議員 ただいま稲見提出者から答弁させていただいたとおりでございます。
国会の審議日程、あるいは法律の施行日の問題、そういうことを勘案する中で、やはり急がなければならない。それで、最後の詰めの問題については、法案を提出する中で、そういう期間の中でもう一度きちっと議論しようということでございました。
それについて、また改めて修正という形で法案を提出させていただく、そのような対処も考えさせていただこうということで、こういうことになったということでございます。
稲津議員 お答えいたします。
まず最初の、結論をやるという趣旨の記述があるかどうかという御質問でございますけれども、この件につきましては、先ほども御答弁ありましたが、国会審議の場において引き続き3党間で協議をする、こういう文言が盛り込まれております。
それから、3党だけで決めていいのかという御質問でございますけれども、このことにつきましても同趣旨の答弁になりますが、3党で議論をさせていただいて、まずは提案をさせていただく、その上で国会での御協議をいただく、このようなことでございます。
以上でございます。
重野委員 21日の3党の覚書の中で、今答弁のありました内容、状況を踏まえて、地方公務員給与の取り扱いに関する規定を置かないものとするというふうに確認されている。
今、新たにきょう法案が出されましたけれども、そこには地方公務員のものに対する明確な文言が入ったんですね。この間の経緯について説明願いたい。
稲見議員 21日の朝の段階では、地方公務員の給与の取り扱いについては3党間で合意を得ることができませんでした。したがって、議員立法として提出をする法案の中にはこの規定を置かずに提出をさせていただきました。
その後、昨日、附帯決議等について3党で協議をいたしましたけれども、結論としては調わずという中で、自民党公明党から、附則としての修正案が本日提出をされております。
民主党としても、附則の案文そのものにつきましては、主張した内容もございますので、提案者には入っておりませんけれども、後ほど修正案に賛成をしたい、こういう形で取り扱っているところであります。

いずれにしろお粗末なやり方である。あるテレビ番組で、この事案と直接関係はなかったと思うが、ある自民党の代議士が、国会で物事を決められないことについて、自分達も一生懸命議論しているのだというようなことを言って弁解していた。しかし、議論をするのも結構だが、物事は決めるべきときに決めなければいけないのである。
批判はあるかもしれないが、私自身は、公務員の給与は高いという面もあるような感じを持っている。しかしそれ以前に、このような人達に他人の給与を議論して欲しくないと思ってしまう。