両罰規定における法人格のない団体に関する規定

第129条 法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前2条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。
2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

これは、国税通則法における両罰規定である。
この第2項に相当する規定を、自治体の条例でも見かける。どうも、この規定が必要であるというのが法務省の見解であり、地検協議の際に、自治体の条例にもこの規定を入れるようにといった指導がなされているようである。
しかし、これは、訴訟手続に関する規定であり、条例の規定事項ではないのではないだろうか。つまり、地方自治法*1なり法律で書くべき事項であろう。
そして、法律で書いていない以上、第1項の規定のみで法人格のない団体は処罰できるとした上で、訴訟手続については解釈によるしか仕方がないように思える。
<追記(2015.8.14)>
上記の問題については、宇那木正寛『自治体政策立案入門』(P234)に次のように記載されている。

条例で刑事訴訟手続の内容を定めることはできませんから、条例の準用規定は、確認的な意味で定められていると解することになるでしょう。現実の立案に関しては、特に準用規定を条例に置くことは必要ないと考えられますが、地方検察庁との協議において、準用規定を置くことについての指示があれば、それに従えばよいでしょう。

上記の問題を実務において考える上で整理された記述であるので、ここに付記しておく。

*1:普通に考えると刑事訴訟法で書くべき事項のように見えるが、法律のレベルで個々の法律に規定している以上、刑事訴訟法では書き難いように思われる。