第2期地方分権改革に係る一括法における経過規定

平成23年5月と8月に制定された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」は、第1次一括法、第2次一括法などと称され、現在、第3次一括法案が国会に提出されている。
これらの一括法に対する評価は、今後本格的になされていくのであろうが、現時点での私の意見は、総論はともかくとして、各論はいかがというのが正直なところである。
今後、一括法については何度か取り上げる機会があると思うが、今回は、一括法に設けられている経過規定を取り上げることにする。
一括法における施設・公物の設置管理基準を条例に委任するに当たり、多くの項目について次のような経過規定を置いて、法の施行日から1年間は条例の制定が猶予され、その間は省令の基準がそのまま条例で定める基準とみなすこととされている。

第○条の規定の施行の日から起算して1年を超えない期間内において、新○○法第○条に規定する……の条例が制定施行されるまでの間は、同条の○○省令で定める基準は、当該……の条例で定める基準とみなす。

もちろん、このような経過規定を置くことに問題があるわけではない。しかし、基準の策定を条例に委任しておきながら、その条例を策定するための基準となる省令を一定期間であれそのまま条例で定める基準とみなすことに、どこかしっくりこないものを感じる。
これは、自治体のことを配慮するための経過措置であるように見えて、実際はその基準となる省令を制定するための経過措置である面が強いことに問題があるのではないだろうか。例えば、児童福祉法に基づく施設等に関する基準についての3省令*1が公布されたのは、法の施行日が平成24年4月1日であるのに、同年2月3日である。
このような経過規定を置くのであれば、いっそのこと施行日は1年後(たとえば第1次及び第2次一括法であれば平成25年3月31日)とし、それまでに条例で基準を定めた場合は、施行日前でもその条例で定めたものを基準とすることができる旨の規定にすべきであると思う。
さらに、条例の基準となる省令については、何時までに制定すべきか法に明記すべきである。これくらいのことはやってもらいたいものである。

*1:児童福祉法に基づく指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)」、「児童福祉法に基づく指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第16号)」及び「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の一部を改正する基準」(平成24年厚生労働省令第17号)」である。