語句の改めと条の移動がある改正で、後者を先に施行する場合の改正規定の特定

洋々亭フォーラムから

以下の一部改正規則についてお伺いします。
第1条の次に新規の第2条を加える改正と、旧第3条中「A」を「B」に改める改正からなります。
ただし、「A」を「B」に改める改正は1か月遅れて施行したいものとします。
〇〇市△△△△規則(平成××年○○市規則第×号)の一部を次のように改正する。
第3条中「A」を「B」に改め、同条を第4条とし、第2条を第3条とし、第1条の次に次の1条を加える。
第2条 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。
附 則
この規則は、平成24年12月1日から施行する。ただし、第3条の改正規定は、平成25年1月1日から施行する。

上記の議論の中でも触れられていたが、この場合の改正規定の方法で悩むのは、第3条の改正が語句の改めと条の移動であり、後者を先に施行させたいため、語句を改める時点では既に第3条は第4条になっていることから、「第3条中……改め」という改め文で移動前の第3条の語句が改められることになるのかという点である。
結論から言うと、基本的な考え方は、原案のとおりでよいのではないだろうか。法律の事例では、次のものがある。

住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号)
住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)の一部を次のように改正する。
   (略)
第45条第1項中「第22条から第25条まで」を「第22条から第24条まで又は第25条」に、「第28条」を「第24条の2第1項若しくは第2項又は第28条」に、「5,000円」を「5万円」に改め、同条第2項中「第22条から第25条まで」を「第22条から第24条まで又は第25条」に、「5,000円」を「5万円」に改め、同条を第51条とする。
   (略)
附 則
(施行期日等)
第1条 この法律は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(1) 次項の規定 公布の日
(2) 目次の改正規定……、第45条第1項の改正規定(「5,000円」を「5万円」に改める部分に限る。)、同条第2項の改正規定(「5,000円」を「5万円」に改める部分に限る。)、同条を第51条とする改正規定……並びに附則第9条及び第12条の規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
(3) 第9条に1項を加える改正規定……、第45条第1項の改正規定(「第22条から第25条まで」を「第22条から第24条まで又は第25条」に、「第28条」を「第24条の2第1項若しくは第2項又は第28条」に改める部分に限る。)、第45条第2項の改正規定(「第22条から第25条まで」を「第22条から第24条まで又は第25条」に改める部分に限る。)……並びに附則第10条及び第11条の規定 公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日
2 (略)

この法律の例は、第45条に字句の改めと条の移動があり、語句の改めの一部が条の移動より後に施行されている*1
ただ上記の設問で多少問題があるのは、「第3条の改正規定」とした場合、同条を第4条とする改正規定が含まれてしまうことはないのか疑義が残るところである。
もちろん割り切って考えてしまう手もあるが、私は、上記の設問の場合、2007年8月5日付け記事「一部改正の例規を改正する例規の立案(4)」で触れているが、「第3条を改め、同条を第4条とし、第2条を第3条とする改正規定」と特定すべきだと考えている。
そうすると、上記の設問の附則は、次のようになる。

この規則は、平成24年12月1日から施行する。ただし、第3条を改め、同条を第4条とし、第2条を第3条とする改正規定(第3条を改める部分に限る。)*2は、平成25年1月1日から施行する。

*1:ちなみに、附則第1項第2号に掲げる規定は、平成11年政令302号により平成11年10月1日から施行、同項第3号に掲げる規定は、平成15年政令20号により平成15年8月25日から施行となっている。

*2:「第3条を改める部分」という表現が気になるところではあるが、「第○条を第×条とする部分」という表現はあるので(2009年11月20日付け記事「改正規定の特定の仕方〜条の移動と追加が混在する事例」参照)、ありなのではないか。