電子メールでの文書の受領

電子メールでの文書のやり取りが一般的になっているが、法令に根拠のある文書について、電子メールでの受領を要求される例もあるようである。この要求は、認めるべきだろうか。結論は、一般的には認めるべきではないことになる。
法令は、一般的には書面で行うことを想定している。明確に規定しているもののほか、例えば届出の場合、「届出書を提出しなければならない」と規定している場合や、単に「……を届け出なければならない」と規定し、下位例規で様式を定めてそれによることとしている場合も書面で行うことを想定している。そして、書面と言えば、紙を指していると言っていいだろう。
したがって、個別法でも認めている例があるが、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」は、主務省令で定めているものについて主務省令で定める方法に限って電子情報処理組織による文書の受領を認めているのである。
では、ファクシミリはどうだろうか。例えば、民事訴訟における準備書面などは、これが認められているが、それは民事訴訟規則で明記されていることからすると、一般的には否定すべきであろう。
ただし、例規で「……を届け出なければならない」とだけ規定し、様式等の定めがない場合は、電子メールでの受領を要求されると拒むことは難しいように思う。必ず紙で出して欲しいのであれば、例規の規定の仕方にも留意すべきだろう。