条例立案に関する研修に関するメモ(1)〜前提

最近、職員に対する条例立案に関する研修のあり方について考える機会があった。
現在は、政策法務研修とするのが一般的なのかもしれないが、政策法務と言うと、文献も含めどちらかというと法務担当向けになっており、一般の職員にはハードルが高いように感じる。ただし、現在は、従来のいわゆる法制執務研修では足りず、自治体法務全体をある程度意識せざるを得ない。
そこで、一般の職員が通常の業務の中で、法務というものを意識し、条例立案につなげていくために、どのようなことを理解してもらうのが良いのかという観点からメモをしていくことにする。現時点では、アウトラインすら明確に決まっていないので、何回で終わるか分からないし、不定期の記載になる。また、一度記載したものを修正していくこともあると思う。
今回は、その前提として、条例立案をする職員は、このようなことが必要であるということを挙げておくことにする。
1 物事を考えること 
最近、あまり物事を考える人がいなくなってきたように感じる。しかし、物事を考えない職員に条例立案をすることは無理であろう。
2 考えたことを普通に文字にする能力
かつては、条例の立案というと、通常の事務と違う特殊な事務という意識が強かったように思う。例えば、一般の公文書で用いている文言であっても、条例で使うかどうか厳選するという向きは今でもある。
しかし、最近の法令を見ると、その平易化を意識してのことかもしれないが、一般的に使われている用語は、結構安易に用いているように感じる。
したがって、条例を立案するといっても、文書化すること自体についてことさら難しく考える必要は以前よりなくなっているといえる。思っていることを普通に文字にすることができれば、あまり問題はない。
ただ、これができない人が多い。これが重要であり、これがきちんとできれば、研修云々という必要すらないようも感じている。
抜本的な解決策ではないが、私は、小説でも何でもいいから、本を読むように進めている。私自身、職員になった頃は、それほど本を読む方ではなかったが、読むようになってから文書をうまく書けるようになったことを実感したことがある。
3 職員として普通の能力を有すること
何をもって職員の普通の能力というかはいろいろな意見があると思うが、条例立案ということでいうと、文書を書く能力ということになる。
この分野は、かつては職場で上司からいろいろと教えられたものだが、今は、資料を作る場合でも文字は軽んぜられ、図が大切にされる傾向があるように感じる。しかし、通常物事は文字で考えるであろうから、文字を書くことができなければ、図入りの資料も作れないと思う。
条例立案の研修の前提として、一般的な文書研修が重要になってきている。