一の法令内で異なる語句について同一の略称を用いる例

略称を用いる場合、それを特定の用語だけに限定することがあることからすると(法制執務研究会『ワークブック法制執務』)、一の法令内で異なる語句について同一の略称を用いることもありということになろう。
例えば、内閣府設置法では次のように、経済財政諮問会議総合科学技術会議について、「会議」という同一の略称を用いている。

内閣府設置法
(所掌事務等)
第19条 経済財政諮問会議(以下この目において「会議」という。)は、次に掲げる事務をつかさどる。
(1)〜(3) (略)
2〜4 (略)
(所掌事務等)
第26条 総合科学技術会議(以下この目において「会議」という。)は、次に掲げる事務をつかさどる。
(1)〜(4) (略)
2〜4 (略)

一般的には、一の法令内における特定の用語は、同じ意味で用いるべきであるので、異なる語句について同一の略称を用いることもできる限り避けるべきであろう。
しかし、上記の内閣府設置法の例は、経済財政諮問会議は第3章第3節第2款第2目、総合科学技術会議は第3章第3節第2款第3目で規定されており、「会議」という略称も、該当するそれぞれの目でのみ用いられているため、その意味するところは明確であって許されるといったところであろうか。