相手の立場に立って書く文書

ある資格の審査を行うことを公告する文書の相談を受けた。その審査は、2年ごとに行っているものであり、現在の資格は、平成24年度と平成25年度分であるため、本年度中に審査を行うというものである。ただし、今回は、有効期間を平成26年度の1年間とし、現在資格を有している者は、その種類を変更したい場合は改めて審査を受ける必要があるが、そうでない場合は、特に審査を要せず1年間自動的に延長するという特例を設けるとのことである。
原案は、公告文を単に「平成26年度における○○の資格の審査を次のとおり行う。」として、審査を受けるための申請の手続を書くところで、上記の特例を書くというものであった。しかし、これだと、現在資格を持っていて、その特例の対象になる者であっても、通常はその審査を受けなければいけないと思っているであろうから、文書を読み進めていって、その申請の手続の部分まできてようやくその特例があることが分かるわけである。
そこで、公告文は、「平成26年度における○○の資格の審査を次の1から○までのとおり行う。なお、平成25年度においてその資格を有する者について、次の○のとおり特例を設ける。」*1として、本年度資格を有する者については、文書の最後でまとめて扱う形にしたらどうかと助言した。これなら、公告文を見ただけで特例があることを分かるようになる。
必要事項をただ書けばいいという文書が多いように感じるが、それは、結局自分の立場で物を見ていることによるのであろう。文書は、その宛名となっている相手方の立場にたって書くようにしたいものである。

*1:実際には年度中途において資格を失うことも当然あり、その場合には改めて審査を受ける必要があるため、それも考慮した文章としたが、ここでは簡略化するためにこのような表現にしている。