検討条項(上)

法律の附則に、検討条項と呼ばれる規定が置かれることがある。この検討条項について、山本庸幸『実務立法技術』(P177)には、次のように記載されている。

特に最近の法律の附則中によく見受けられるようになった規定として、いわゆる検討条項がある。これは、当面の一定期間その法令を運用してみてその状況を把握し、その結果、必要があればその法令の見直しを行うことを政府に義務付けるというものである。

検討条項の例として、次の食品安全基本法附則第8条の例がある。

食品安全基本法(平成15年法律第48号)
   附 則
(検討)
第8条 政府は、食品の安全性の確保を図るための諸施策に関する国際的動向その他の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

この規定は、衆議院において修正の上置かれたものであるが、このように、検討条項は、国会での審議過程において置かれることが多く、政治的な妥協として置かれるという面も多分にあった(大島稔彦『法令起案マニュアル』(P358)。
しかし、最近は、内閣提出法案で、提出段階から置く例も多い。検討条項を置くことについての内閣の方針を定めたものとして、例えば、次の平成13年度から平成15年度における規制改革推進3か年計画(平成13年3月30日閣議決定)がある。

規制の新設に当たっては、原則として当該規制を一定期間経過後に廃止を含め見直すこととする。法律により新たな制度を創設して規制の新設を行うものについては、各府省は、その趣旨・目的等に照らして適当としないものを除き、当該法律に一定期間経過後当該規制の見直しを行う旨の条項……を盛り込むものとする。