検討規定

法律の附則には、一定の時期に法律の見直しを行うことを検討することとする規定を置くことがあるが、その規定は、次のように政府に義務付けることとする例が多い。

公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)
附 則
(検討)
第13条 政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況を勘案しつつ、行政文書及び法人文書の範囲その他の事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 (略)

しかし、次のように「政府」という主語を記載しない例もある。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第106号)
附 則
(検討)
第2条 児童買春及び児童ポルノの規制その他の児童を性的搾取及び性的虐待から守るための制度については、この法律の施行後3年を目途として、この法律による改正後の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行状況、児童の権利の擁護に関する国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

この「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律*1」は、上記の検討規定を受けて、国会において見直しの検討が行われている。例えば、衆議院法制局第二部第一課 齋藤了爾「児童ポルノの「所持」も罰則の対象に 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」『時の法令(NO.1963)』(P15)には、次のように記載されている。

……平成16年の改正時の附則に、法律の施行状況や児童の権利の擁護に関する国際的動向等を踏まえて3年を目途として検討すべき旨の見直し条項が置かれたことから、各党において、児童ポルノ等に関する規制の在り方全般について議論がなされ、平成20年6月には自公案(第169回国会衆法32号)が、平成21年3月には民主党案(第171回国会衆法12号)がそれぞれ提出されたが、衆議院の解散に伴い両案は廃案となった。……

ただ、平成16年法律第106号の附則第2条が、その制定時に国会における修正を想定して上記のような表現としたものであるかは、確認していない。

*1:平成26年法律第79号により、題名が「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改められた。