防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否(その3)

以前取り上げたテーマ(2010年10月15日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否」、2010年12月24日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否(その2)」)に関し、washitaさん経由で、岐阜県山岳連盟会長の次のコメントを拝見した。

「救助ヘリ有料化」も検討されました。最近の救助活動はヘリコプターが主体。民間と違い、県警や防災ヘリは無料です。県外者が約8割を占める遭難者の救助を、県費が投入されたヘリが担っており、「なぜ有料にしないのだ」という県民感情は無理ありません。
県の説明では、航空法の規定や人命尊重の見地から「有料化は極めて困難」でした。私は救助費用の実費くらいは自己負担にすべきだと思っています。自己責任で危険地帯に入るのが登山ですから。
2015年4月18日5時00分 朝日新聞デジタル

この航空法の問題については、ネットで調べたところ、高知勤労者山岳会の方のサイトと思われるが、平成16年7月に高知市で開催された全国山岳遭難対策協議会において、消防庁防災情報室課長補佐が、消防庁では有料化を検討したことはなく、公式見解ではないと断りつつ、次のように述べたようである。

航空法上の取り扱い
2条で航空運送事業とは、航空機を使用して有償で旅客・貨物を運送する事業という定義がある。消防ヘリがとる金が60万なのかガソリン代なのか分からないが、JALとかANAとかと同じ航空事業者になってしまう。行政機関が事業者になりうるのか。

しかし、自治体であっても企業を経営することがあり得るため(地方自治法第263条)、事業者となり得ないというものではないだろう。
もちろん、航空法の適用があることになると、その事業者としての基準を満たす必要があるため、コスト等を考えた場合に現実的に可能かどうかという問題はあると思うが、法的に不可能ということではないのではないだろうか。