なぜ読点を付けるのだろうか

平成26年4月に公布された水循環基本法には、次の規定がある。

(施策の基本方針)
第9条 水循環に関する施策は、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。

気になるのは、「総合的に」の次にある読点である。普通であれば、「策定され」まで一気にいきたいところであるが、次の障害者基本法第10条第1項の規定のように、同じく読点を付けている例もある。

(施策の基本方針)
第10条 障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。
2 (略)

同様な規定の例として「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律」第5条もあり、水循環基本法第9条もこうした規定を参考にしたのだろう。
読点を打つ理由は「実施され」にもかけたいからではないかと思うが、次の都市農業振興基本法第4条のように、打っていない例もある。

(国の責務)
第4条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、都市農業の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

やはり参考にすべきは、この都市農業振興基本法第4条の規定ではないかと思う。
なお、次の東日本大震災復興基本法第4条は、読みやすさを考えると読点を付けることも理解できる。

地方公共団体の責務)
第4条 地方公共団体は、第2条の基本理念にのっとり、かつ、東日本大震災復興基本方針を踏まえ、計画的かつ総合的に、東日本大震災からの復興に必要な措置を講ずる責務を有する。