条例による公表制度と行政代執行法第1条との関係

条例で制裁としての公表制度を規定することがあるが、行政代執行法第1条で「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」とされていることから、当該公表制度が適法か一応問題となるが、一般的には、古典的な行政執行の種類に当たらないという理由で適法と考えられている(塩野宏行政法1(第6版)』(P267)等)。
しかし、条例による公表制度を義務履行確保手法と考えるのであれば、上記の説明は厳密には適切ではないことになる。この点について、碓井光明『都市行政法精義2』(P34)に「行政代執行法が法律主義を要求しているのは、直接に私人の身体又は財産に実力を加える結果になる強制であると見るのが自然である」と記載されており、この方が納得できる見解ではある。しかし、碓井教授も公表制度は法律又は条例に根拠を要すると考えられているようであるが(碓井前掲書(P32〜))、そうした考え方とは整合しない嫌いがある。
制裁としての公表が、法律論的に法律又は条例の根拠が必要と考えることが適切であることは否定しないが、現行の立法はそのように考えられていないということは事実であろう。行政代執行法第1条の改正を含め、立法的手当がなされることが適当であろう。