自転車は歩道の右側を通行することができるか

自転車による交通事故が多発したことを受け、2015年6月1日に改正道路交通法が施行されるなど、法的な手当てもなされているが、自転車が歩道を通行する場合、右側を通行することができるだろうか。道路交通法の関係規定は、次のとおりである。

(通行区分)
第17条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第47条第3項若しくは第48条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
2・3 (略)
4 車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第9節の2までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。
5・6 (略)
(普通自転車の歩道通行)
第63条の4 普通自転車は、次に掲げるときは、第17条第1項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
(1) 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
(2) 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
(3) 前2号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

公益社団法人自転車道路交通法研究会のホームページによると、自転車が歩道を通行する場合は右側通行が可能であり、その根拠を第63条の4第2項としているようである。
しかし、車両の左側通行の根拠は、第17条第4項であり、第63条の4第2項の前提である同条第1項で第17条第1項は適用しないこととしているが、同条第4項については触れていないので、その適用はあると考えるのが普通の読み方のような感じがする。
例えば、第63条の4第1項が「普通自転車は、次に掲げるときは、第17条第1項及び第4項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。……」となっていれば、右側通行が可能であることは明らかであるのだが。
<2016.10.22追記>
上記記事に対し、半鐘さんからコメントをいただきました。御指摘のとおり、道交法の規定で法制執務上問題ないと思いますので、見解を訂正します。