年齢における「以下」

「以下」と「未満」の説明の際に年齢を用いていることが多いと思うが、例えば18歳以下という場合、18歳に達してから1月を経過した人は、これに含まれるだろうか。
通常、このような人の年齢は、あくまでも「18歳」であって、「18歳1月」とは言わない。「年齢のとなえ方に関する法律」でも、その第1項で「この法律施行の日以後、国民は、年齢を数え年によつて言い表わす従来のならわしを改めて、年齢計算に関する法律明治35年法律第50号)の規定により算定した年数(1年に達しないときは、月数)によつてこれを言い表わすのを常とするように心がけなければならない」とされている。
しかし、佐藤達夫「未満の波紋」『法律のミステーク』(P13〜)には、ある保険の約款に「年齢6年以上60年以下」という記載があり、この「60年以下」というのは、ちょうど満60歳に達した人までを含む意味で、満60歳の誕生日を過ぎた人までを含むつもりはなかったという記述がある。
そして、同随筆(前掲書P16〜)は、次のように記載している。

このように年齢の問題に関しては“以下”と“未満”の差異について少くとも疑問のあることは確かであるから、“何歳以下”というのはできるだけ避けた方が賢明であろう。私の知つている範囲の立法例では、年齢に関する限りすべて“以上”と“未満”を使い、“以下”を用いたものはないように思うが、それもこういう理由から来ているものと察せられる。

ちなみに、現在の法律における用例を調べてみると、8法律12件において年齢に「以下」が用いられている。しかし、年齢に関し「以下」を用いるのは避けた方が無難ということであろう。