防災ヘリコプターの運行業務の有料化

登山者ヘリ救助、埼玉県が有料化 全国初、条例成立
埼玉県内の山で遭難した登山者を県の防災ヘリコプターで救助した場合、遭難者から手数料として約5万円を徴収する条例改正案が27日、県議会で成立した。自治体の防災ヘリによる山岳救助が有料化されるのは全国で初めて。
「5万円」はヘリが1時間飛行した場合の燃料費を想定しており、救出にかかる時間や燃料費に応じて負担額は上下する。施行は2018年1月1日。
有料化を巡っては、無料で人命を救助する隣県ヘリとの整合性のほか、埼玉県内で登山が盛んな秩父地域の観光協会や山岳連盟から「『秩父の山は有料』とのマイナスイメージが先行する」と懸念が出されたが、条例案を議員提案した最大会派・自民党県議団などの賛成多数で可決した。
朝日新聞デジタル 2017年3月27日配信

上記の措置は、「埼玉県防災航空隊の緊急運行業務に関する条例」に手数料を徴収する規定を追加するものであるが、その規定は、以下のとおりである。

(手数料)
第10条 県の区域内の山岳において遭難し、緊急運航による救助を受けた登山者等(登山者その他の山岳に立ち入った者をいい、知事が告示で定める者を除く。)は、知事が告示で定める額の手数料を納付しなければならない。
2 知事は、災害、経済的困難その他の特別の理由があると認めるときは、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。

具体的な額の定めを告示に委任したのは、燃料費を勘案して決めるのであれば、その額は頻繁に変動するから、手数料の額も頻繁に変更する必要があるためということであり、それは合理的な理由と思うが、例えば「○○を勘案し、知事が告示で定める額」といったような形で委任すべきであっただろう。
それはともかく、当初は民法の規定を根拠として徴収することを検討した者もいたようだが、2010年10月15日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否」及び2010年12月2日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否(その2)」で触れたとおり、私は、収入の内容は地方自治法に根拠があるものとすべきだと考えているので、その点では問題はないのだが、それが手数料というのは、やはりしっくりこない。
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