「又は」「若しくは」

「又は」と「若しくは」の使い方については、あえて説明する必要はないと思うが、実際に使用する場合には、どちらを使うべきか悩むときもあり、法律・政令のレベルでも誤っている例もまれに存するところである。
次の規定は、「所得税法施行令の一部を改正する政令平成27年政令第141号)」により追加された所得税法施行令第266条の3の規定である。

(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)
第266条の3 (略)
2〜5 (略)
6 法第137条の3第1項に規定する贈与納税猶予分の所得税額若しくは同条第2項に規定する相続等納税猶予分の所得税又はこれらの金額の合計額に100円未満の端数があるとき、又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
7〜17 (略)

なぜ「その全額」と表記しているのかよく分からないが、これは、その前の「合計額」を指していると思われる。そうすると、太字の「又は」は、「若しくは」とすべきだろう。
また、次の規定は、「所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)」第8条の規定により追加された「外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律」第34条の規定である。

(個人の住民税に係る特別過誤納金の支給)
第34条 (略)
2 (略)
3 道府県知事は、特別過誤納金、不申告加算金過誤納相当額若しくは重加算金過誤納相当額の支払をし、又は充当(地方税法第十七条の二第一項から第三項までの規定による充当をいう。以下この条において同じ。)をする場合には、次の各号に掲げる特別過誤納金、不申告加算金過誤納相当額又は重加算金過誤納相当額の区分に従い当該各号に定める日の翌日から特別過誤納金、不申告加算金過誤納相当額又は重加算金過誤納相当額の支払決定の日又は充当の日までの期間の日数に応じ、その金額に年七・三パーセントの割合(各年の同法附則第三条の二第一項に規定する特例基準割合(以下この項及び第十一項において「特例基準割合」という。)が年七・三パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合に年一パーセントの割合を加算した割合(当該加算した割合が年七・三パーセントの割合を超える場合には、年七・三パーセントの割合))を乗じて計算した金額(第五項及び第六項において「加算金」という。)をその支払をし、又は充当をすべき金額に加算しなければならない。
 (各号略)
4〜16 (略)

太字の「特別過誤納金、不申告加算金過誤納相当額若しくは重加算金過誤納相当額」は、その後ろの「充当」にもかかっていると思うので、この「若しくは」は「又は」とすべきである。