共有物の持分を有する者は所有者なのか

地方税法に次の規定がある。

(震災等により滅失等した家屋に代わる家屋等に対する都市計画税の減額)
第702条の4の2 市町村は、震災、風水害、火災その他の災害(以下この条において「震災等」という。)により滅失し、又は損壊した家屋の所有者(当該家屋が共有物である場合には、その持分を有する者を含む。)その他の政令で定める者が、政令で定める区域内に当該震災等の発生した日から同日の属する年の翌年の3月31日から起算して4年を経過する日までの間に、当該滅失し、若しくは損壊した家屋に代わるものと市町村長が認める家屋を取得し、又は当該損壊した家屋を改築した場合における当該取得され、又は改築された家屋に対して課する都市計画税については、当該家屋が取得され、又は改築された日(当該家屋が当該震災等の発生した日以後において2回以上改築された場合には、その最初に改築された日。以下この条において同じ。)の属する年の翌年の1月1日(当該家屋が取得され、又は改築された日が1月1日である場合には、同日)を賦課期日とする年度から4年度分の都市計画税に限り、政令で定めるところにより、当該家屋に係る都市計画税額のうち、この条の規定の適用を受ける部分に係る税額として政令で定めるところにより算定した額(当該家屋が区分所有に係る家屋である場合又は共有物である家屋である場合には、この条の規定の適用を受ける部分に係る税額として各区分所有者(建物の区分所有等に関する法律第2条第2項に規定する区分所有者をいう。)又は各共有者ごとに政令で定めるところにより算定した額の合算額)の2分の1に相当する額を当該家屋に係る都市計画税額から減額するものとする。

上記の規定の太字の部分が置かれていることについては、共有物の持分を有する者は、所有者ではないことが前提となっていると考えるのが普通だろう。このことは、次の地方税法施行令第52条の13第3項第1号の規定を見ると明らかである*1

(被災住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例の適用を受ける被災住宅用地等の範囲)
第52条の13 (略)
2 (略)
3 法第349条の3の3第2項に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。
(1) 被災年度に係る賦課期日において被災住宅用地を所有し、又はその共有持分を有していた者
(2)〜(5) (略)
4〜11 (略)

しかし、共有物の持分を有している者も所有者であると考えるのが通常ではないだろうか。実際、民法第999条第2項の規定は、次のようになっている。

(遺贈の物上代位)
第999条 (略)
2 遺贈の目的物が、他の物と付合し、又は混和した場合において、遺言者が第243条から第245条までの規定により合成物又は混和物の単独所有者又は共有者となったときは、その全部の所有権又は持分を遺贈の目的としたものと推定する。

税法における考え方は通常と違うのだろうか。

*1:なお、地方税法施行令第52条の13の2第1項第1号は「法第349条の3の4に規定する滅失し、又は損壊した償却資産(以下この項及び第3項において「被災償却資産」という。)の所有者(当該被災償却資産が共有物である場合には、その持分を有する者を含む。)」と地方税法第702条の4の2と同様の書き方をしているが、同令の中では書き振りの整合がとれていないことになる。