高齢者給与抑制措置

次の規定は、平成22年法律第53号により規定された「一般職の職員の給与に関する法律」附則第8項の規定である。

8 平成30年3月31日までの間、職員(次の表の俸給表欄に掲げる俸給表の適用を受ける職員(再任用職員を除く。)のうち、その職務の級が次の表の職務の級欄に掲げる職務の級以上である者であつてその号俸がその職務の級における最低の号俸でないものに限る。以下この項及び次項において「特定職員」という。)に対する次に掲げる給与の支給に当たつては、当該特定職員が55歳に達した日後における最初の4月1日(特定職員以外の者が55歳に達した日後における最初の4月1日後に特定職員となつた場合にあつては、特定職員となつた日)以後、次の各号に掲げる給与の額から、それぞれ当該各号に定める額に相当する額を減ずる。
(1) 俸給月額 当該特定職員の俸給月額(当該特定職員が附則第6項の規定の適用を受ける者である場合にあつては、同項本文の規定により半額を減ぜられた俸給月額。以下同じ。)に100分の1.5を乗じて得た額(当該特定職員の俸給月額に100分の98.5を乗じて得た額が、当該特定職員の属する職務の級における最低の号俸の俸給月額(当該特定職員が同項の規定の適用を受ける者である場合にあつては、当該最低の号俸の俸給月額からその半額を減じた額。以下この号及び次号において同じ。)に達しない場合(以下この項、附則第10項及び第11項において「最低号俸に達しない場合」という。)にあつては、当該特定職員の俸給月額から当該特定職員の属する職務の級における最低の号俸の俸給月額を減じた額(以下この項及び附則第10項において「俸給月額減額基礎額」という。))
(2)〜(8) (略)

俸給表職務の級
行政職俸給表(一)6級
専門行政職俸給表4級
税務職俸給表6級
公安職俸給表(一)7級
公安職俸給表(二)6級
海事職俸給表(一)6級
教育職俸給表(一)4級
研究職俸給表5級
医療職俸給表(二)6級
医療職俸給表(三)6級
福祉職俸給表5級
専門スタッフ職俸給表1級

この規定の原型は、平成22年11月30日に公布された平成22年法律第53号により規定されているが、これは、平成22年の人事院勧告で、高齢層、特に50歳台後半層の官民の給与差が拡大している傾向にあることを踏まえ、その給与抑制措置を講ずることとされたことを受けて規定されたものである。
自治体において、この規定にならって措置を講ずることとした場合、基本的には幹部職員であっても給与抑制措置の対象となるが、国家公務員の場合、指定職俸給表(「一般職の職員の給与に関する法律」別表第11)が適用される職員、つまり本省であれば概ね審議官級以上の職員は、給与抑制措置が講じられることはない。
これは、指定職俸給表の適用される職員は、民間で言えば役員ということであり、それも一つの考え方ではあろう。
しかし、高橋洋一『官愚の国』(P99)によると、第一次安倍政権、福田政権における公務員制度改革において、事務次官が「私も一労働者でございます」と宣ったとのことである。この矛盾をどう言ったらいいのだろうか。