本則に様式を定める法令

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の規定に基づく立入検査をする船員労務官の携帯する身分を示す証明書の様式を定める省令(平成29年国土交通省令第62号)
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下「法」という。)第35条第2項において準用する法第13条第2項の身分を示す証明書(法第104条第1項に規定する報告徴収等のみを担当する船員労務官の身分を示す証明書に限る。)の様式は、次のとおりとする。
様式    (縦5.5? 横8.5?)
  (様式略)
附 則
この省令は、法の施行の日(平成29年11月1日)から施行する。

様式は、例えば「別記様式」として附則等の次に規定するものだと思っていたが、表も本則に規定することがあることを考えると、様式も本則に規定するのもありなのかもしれない。
それでも私は、このようにするのは抵抗がある。

書き振りが気になる規定の例(18)

情報公開制度については、何となくしっくりこない点が幾つかあり、それは整理できたらまた記してみたいのだが、ここで取り上げるのは、次の「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」第15条の規定である。

(他の法令による開示の実施との調整)
第15条 行政機関の長は、他の法令の規定により、何人にも開示請求に係る行政文書が前条第1項本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合(開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同項本文の規定にかかわらず、当該行政文書については、当該同一の方法による開示を行わない。ただし、当該他の法令の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2 (略)

第15条第1項本文の「当該同一の方法による開示を行わない」という意味について、高橋滋ほか『条解行政情報関連三法』(P420)では、次のように記載されている。

例えば、他の法令において閲覧の方法による開示が規定されている場合には、閲覧の方法による開示については、本法では行わず、他の法令によることとな(る)。

一見しただけでは何となく分かりにくいのは、「前条第1項本文に規定する方法と同一の方法」の「同一の方法」は、他の法令のそれを言っているのに対し、「当該同一の方法」は、情報公開法のそれを言っているため、厳密に言えば「当該同一の方法」で受けるのは無理があるためでないかと思う。
したがって、きちんと書くのであれば、「当該同一の方法による開示を行わない」の部分は、冗長な感じになるが、「当該同一の方法に限り、同項本文の規定による開示を行わない」とするか、「当該同一の方法による同項本文の規定による開示を行わない」とするのではないかと思う。

例規の立案で考えられない間違いをしている例(6)

株式会社日本政策金融公庫法等に規定する検査身分証明書等の様式を定める省令の一部を改正する省令(平成29年財務省令第34号)
株式会社日本政策金融公庫法等に規定する検査身分証明書等の様式を定める省令の一部改正)
第1条 株式会社日本政策金融公庫法等に規定する検査身分証明書等の様式を定める省令(平成10年大蔵省令第98号)の一部を次のように改正する。
次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付した部分をこれに対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付した部分のように改める。
(表略)
附 則
この省令は、公布の日から施行する。

これは、いわゆる新旧対照表方式による改正の例であるが、ここで取り上げるのはそのことではない。
株式会社日本政策金融公庫法等に規定する検査身分証明書等の様式を定める省令」の改正を第1条で行っているが、第2条がないことである。

例規の立案で間違いやすい例(71)

内閣府本府組織規則の一部を改正する内閣府令(平成27年内閣府令第30号)
   (略)
附則第4項中「一人」を「二人」に改め、同項を第3項とし、第5項を第4項とする。

附則の項は、「附則第○項」と明記する必要があるから、「……同項を附則第3項とし、附則第5項を附則第4項とする」とすべきだろう。

書き振りが気になる規定の例(17)

次の規定は、「関税法施行令等の一部を改正する政令(平成29年政令第6号)」第5条により追加された「関税暫定措置法施行令(昭和35年政令第69号)」第19条の4の規定である。

(法第7条の8第1項に規定する政令で定める期間)
第19条の4 (略)
2 前項の規定にかかわらず、環太平洋協定発効年度の初日から起算して10年を経過した日から環太平洋協定発効年度の初日から起算して15年を経過する日までの間においては、環太平洋協定適用牛肉に係る法第7条の8第1項に規定する政令で定める期間は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間とする。ただし、第1号に掲げる場合に該当することとなつた旬と第4号に掲げる場合に該当することとなつた旬が同じ旬である場合にあつては当該各号に定める期間のうちいずれか長い期間とし、第2号又は第3号に掲げる場合に該当することとなつた旬と第4号に掲げる場合に該当することとなつた旬が同じ旬である場合にあつては同号に定める期間とする。
 (各号略)
3 (略)

太字の部分で気になるのは、「環太平洋協定発効年度の初日から起算して」を2度書いている点である。
例えば、「環太平洋協定発効年度の初日から起算して10年を経過した日以後の5年間」とすれば十分なのではないだろうか。

例規の立案で間違いやすい例(70)

計量法施行規則の一部を改正する省令(平成27年経済産業省令第35号)
   (略)
第11条第1項第7号に次を加える。
ハ (略)

「……次のように加える」とすべきだろう。

例規の立案で間違いやすい例(69)

特定計量器検定検査規則の一部を改正する省令(平成27年経済産業省令第34号)
  (略)
第437条の見出しを「(性能)」に改め、同条第1項を次のように改める。
ガスメーターの性能は、日本工業規格B八五七一(二〇一五)附属書による。
第437条第2項及び第3項を削る。

3項からなる第437条を1項建てとする改正であるが、なぜ、第437条の全部改正としなかったのだろうか。