書き振りが気になる規定の例(18)

情報公開制度については、何となくしっくりこない点が幾つかあり、それは整理できたらまた記してみたいのだが、ここで取り上げるのは、次の「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」第15条の規定である。

(他の法令による開示の実施との調整)
第15条 行政機関の長は、他の法令の規定により、何人にも開示請求に係る行政文書が前条第1項本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合(開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同項本文の規定にかかわらず、当該行政文書については、当該同一の方法による開示を行わない。ただし、当該他の法令の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2 (略)

第15条第1項本文の「当該同一の方法による開示を行わない」という意味について、高橋滋ほか『条解行政情報関連三法』(P420)では、次のように記載されている。

例えば、他の法令において閲覧の方法による開示が規定されている場合には、閲覧の方法による開示については、本法では行わず、他の法令によることとな(る)。

一見しただけでは何となく分かりにくいのは、「前条第1項本文に規定する方法と同一の方法」の「同一の方法」は、他の法令のそれを言っているのに対し、「当該同一の方法」は、情報公開法のそれを言っているため、厳密に言えば「当該同一の方法」で受けるのは無理があるためでないかと思う。
したがって、きちんと書くのであれば、「当該同一の方法による開示を行わない」の部分は、冗長な感じになるが、「当該同一の方法に限り、同項本文の規定による開示を行わない」とするか、「当該同一の方法による同項本文の規定による開示を行わない」とするのではないかと思う。