定義規定を置く場所

平成18年6月に公布された「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」に基づく認定こども園については、その基準を都道府県条例で定めることとされているため、同年12月にその基準を定めた条例が幾つか公布されていた。その中で、次のような条例があった。

  • 第1条 趣旨
  • 第2条 定義
  • 第3条 認定基準→「○○の認定の基準は、別表のとおりとする。」として、具体的な定めは別表に譲る。
  • 場合によっては、第4条に委任規定

気になったのは、定義規定である。実体的な部分はすべて別表で書いているから、実際には別表の用語を第2条で定義しているのである。用語の定義というと、その用語の後ろに括弧を用いて書かない限り、第2条にまとめて置くものだという意識があるのであろう。
なお、以前、第1条で目的規定と一緒に定義規定を置いている例について書いたことがあったが(「目的等規定(趣旨規定等)」)、それ以外で、第2条以外で定義規定を置いている例は、次のようなものがある。

  1. 条に項を設けて定義している例……港湾法第50条の2第6項、一般職の職員の給与に関する法律第12条第8項etc.
  2. 章の冒頭等に定義規定を置く例……ガス事業法第39条の2、民事再生法第196条etc.

1の給与法の規定は、給与条例の審査の際に見たときは、このような定義の仕方もあるのだと驚いたものであるが、法令文の平易化方策として実施しているものであろう*1
では、別表の用語の定義だが、できる限り近くで定義するのが分かりやすいだろうから、別表に備考か注を付けて書くという発送になると思う。実際、このような例は、所得税法別表第2ほか相当数ある。
また、登録免許税法別表第1は、項に番号を付して号としているが、その号ごとに用語を定義しており、大きい表のようなときは、参考になるであろう。

*1:内閣法制局における法令文の平易化方策の申し合わせには、法令の1文が長文(400字を超えるもの)となるときは号・別の条・項で整理する、括弧内の文が長いもの又は複雑なものとなる場合には別項等として整理する、適当な場合には定義規定をまとめて章等の冒頭に置くといったものがある(宮崎礼壹「立法実務サイドからみた法令平易化」松尾浩也『立法の平易化』参照)。