「等」と「など」

法令における「等」と「など」の使い方については、従来は全て「等」を用いていたが、最近は「など」を用いる例も見られるようになっている*1
しかし、実際には「等」と「など」の使い分けは、難しい。廣瀬菊雄『公用文 用字用語の要点』(P266)は、次のように記載しており、明確な使い分けの基準はないようである。

「等」は、漢字の語の羅列の後に用い、「など」は、平仮名の語の羅列の後に用いるとする意見もある。しかし、そのような傾向はあっても、そのような取決めはないと思われる。

ただし、例規の平易化という観点からすると、前掲書(P266)には「『など』は、『等』に比べて、柔らかい感じがする。堅苦しい表現を避けようとする場合は、『など』の方がよい」とあり、一定の場合に「など」を使うことは、傾向としては好ましいのではないかと思っている。
では、法令においてどのように使い分けがされているかであるが、動詞は、「など」を用い、名詞は、漢字のみのものであれば「等」を、仮名のみのものであれば「など」*2を用いることは疑いのないところだろう。
では、漢字と仮名が交じった名詞の場合であるが、「等」と「など」を使い分けている法律における使用法は、次のとおりである。

  • 漢字とひらがなが交じった名詞の例:「申立て等」と「等」を使用(民事訴訟法第132条の10第1項。同法は、第147条の3第1項に「錯そうしているなど」とあるように「など」も用いている。)
  • 漢字とカタカナが交じった名刺の例:「国家戦略スタッフ等」と「等」を使用(国家公務員制度改革基本法第5条第1項第2号のイ。同法は、同号のイに「活用するなど」とあるように「など」も用いている。)
  • 「○○すること」という例:「定めること等」と「等」を使用(バイオマス活用推進基本法第1条。同法は、第8条に「利用されるなど」とあるように「など」も用いている。)

これらの用例を見ると、「等」と「など」を使い分けている法令においては、漢字と仮名が交じった名詞については「等」を使っていると一応言えそうである。

*1:以前、一定の場合に「など」を用いる法律が多くなっていると記載したが、最近の傾向を見ると、なお一律に「等」を用いる法律も相当数あり、必ずしも多くなっているとまでは言えないような状況である。

*2:法令の用例は確認できなかったが、このように考えて問題ないだろう。