都道府県条例と市町村条例の適用区分の規定に関するメモ

 鹿児島大学の宇那木准教授は、都道府県条例において、市町村条例との間に競合関係が生じる場合の適用区分を定める規定のパターンを、次のとおり分類しているので(「自治体職員のための政策法務入門 都道府県と市町村条例1」『自治体法務研究NO.42』(P99〜))、ここにメモしておく。
1 単純除外型
特定の地域を指定して、当該地域に対する都道府県条例の適用を、無条件あるいはこれに近い条件で除外するもの
2 制定除外型
都道府県条例と競合する市町村条例が制定され、あるいは制定されている場合に、当該市町村条例が適用される区分を除外するもの
3 効果的条例除外型
都道府県条例と同等あるいは、都道府県条例よりも効果的な市町村条例が制定され、あるいは制定されている場合に、当該市町村条例の区域における都道府県条例の適用を除外するもの。このタイプには、除外する地域を特に明示しないものと知事規則、公示等により除外する地域を明示するものがある。
4 超過規制除外型
都道府県条例よりも厳しい規制を定めた市町村条例がある場合、当該規制的競合部分について、都道府県条例の適用を除外し、当該市町村条例の適用を認めるもの
5 協議除外型
都道府県知事が市町村長と協議することにより、適用関係(除外関係)を決定するもの
6 申出除外型
市町村の申出により、競合関係にある都道府県条例の適用関係(除外関係)を決定するもの
なお、宇那木准教授は、どの適用除外規定にもメリット・デメリットがあるので、どのタイプが優れているとかといった単純な評価をすることはできないとしているが(前掲書P102)、都道府県条例の適用を除外する区域については、4を除き、都道府県条例又は知事規則で明示すべきであると思う。