章の移動等を伴う複雑な一部改正の例

高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律(平成23年法律第32号)第1条は、高齢者の居住の安定確保に関する法律第1章の2から第4章までを次のように改めている。

第2章 基本方針及び高齢者居住安定確保計画(第3条・第4条)第1章の2 基本方針及び高齢者居住安定確保計画(第3条・第3条の2)
(章名削り)第2章 高齢者円滑入居賃貸住宅の登録等
(節名削り)第1節 高齢者円滑入居賃貸住宅の登録等(第4条―第16条)
第3章 サービス付き高齢者向け住宅事業(章名追加)
第1節 登録(第5条−第14条)(節名追加)
第2節 業務(第15条−第20条)(節追加)
第3節 登録住宅に係る特例(第21条−第23条)(節追加)
第4節 監督(第24条−第27条)(節名追加)
第5節 指定登録機関(第28条−第40条)第2節 指定登録機関(第17条―第29条)
第6節 雑則(第41条−第43条)(節名追加)
(章削り)第3章 高齢者向け優良賃貸住宅の供給の促進
 第1節 供給計画の認定等(第30条―第40条)
 第2節 高齢者向け優良賃貸住宅の供給に対する支援措置(第41条―第47条)
第4章 地方公共団体等による高齢者向けの優良な賃貸住宅の供給の促進等(第44条−第51条)第4章 地方公共団体等による高齢者向けの優良な賃貸住宅の供給の促進等(第48条―第55条)
その改め分は、次のとおりである。

第3章を削る。 
第29条第1項中……に改め、第2章第2節中同条を第40条とし、同条の次に次の節名及び3条を加える。
第6節 雑則
第41条〜第43条 (略) 
第28条第1項中……に改め、同条を第39条とする。 
第27条第1項中……に改め、同条を第38条とする。 
第26条を第37条とし、第25条を第36条とし、第24条を第35条とする。 
第23条中……に改め、同条を第34条とする。 
第22条第2項中……に改め、同条を第33条とする。 
第21条を第32条とし、第20条を第31条とし、第19条を第30条とする。 
第18条第3号中……に改め、同条を第29条とする。 
第17条第1項中……に改め、同条を第28条とする。 
第2章第2節を同章第5節とする。 
第15条及び第16条を削る。 
第14条第1項中……に改め、同項に次の各号を加える。 
(各号略) 
第14条第2項中……に改め、第2章第1節中同条を第26条とし、同条の次に次の1条を加える。
第27条 (略) 
第13条第1項中……に改め、同条第3項を次のように改める。
3 (略) 
第13条を第25条とし、同条の前に次の節名及び1条を加える。
第4節 監督
第24条 (略)
第11条及び第12条を次のように改める。
第11条・第12条 (略) 
第12条の次に次の2条及び2節を加える。
第13条・第14条 (略)
第2節 業務
第15条〜第20条 (略)
第3節 登録住宅に係る特例
第21条〜第23条 (略)
第10条を削る。 
第9条中……を削り、同条を第10条とする。 
第8条を削る。 
第7条第1項中……に改め、同項第1号中……に改め、同項第4号中……に改め、同号を同項第7号とし、同項第3号中……に改め、同号を同項第6号とし、同項第2号中……に改め、同号を同項第4号とし、同号の次に次の1号を加える。 
(中略) 
第7条を第8条とし、同条の次に次の1条を加える。
第9条 (略)   
第6条第1項中……を削り、……同項第3号を次のように改める。 
(中略) 
第6条を第7条とする。 
第5条中……に改め、同条各号を次のように改める。 
(中略)   
第5条を第6条とし、同条の前に次の章名、節名及び1条を加える。
第3章 サービス付き高齢者向け住宅事業     
第1節 登録
第5条 (略) 
第2章の章名、同章第1節の節名及び第4条を削る。 
第3条の2第3項中……に改め、第1章の2中同条を第4条とする。 
第1章の2を第2章とする。

ポイントは、第3章の削りから始めているところである。
この改め文では、章の移動を、単純に繰り下げるだけでなく、章名の削り・追加を組み合わせて行っている。したがって、上記のゴシックの部分から始めて、第1章の2を第2章とした後に、第3章を削っても、その部分だけ見ればいいように思われる。
しかし、その次の第29条を第40条とする移動において、同条が第2章第2節(改正後は第3章第5節)に属することを明記する必要があるが、先に第2章の章名を削ってしまうと、何章として特定すべきか疑義が生じるので、第3章の削りから始めているのではないだろうか。
ただ、そこまでこだわるのであれば、「……第2章第2節中同条を第40条とし、同条の次に次の節名及び3条を加える」は、「……第2章第2節中同条を第40条とし、同章中同条の次に次の節名及び3条を加える」として、第6節の節名と第41条から第43条までが第2章(改正後は第3章)に属することを明記して欲しい感じがする。
その他、上記の改め文は、第13条を移動した後に、第4節の節名と第24条を加え、その次に第11条と第12条を改め、それから2条と2節(第13条から第23条まで)を加えているが、ここは、第13条を移動した後に、第11条と第12条を改め、その次にまとめて加えてしまえばいいのではないかと思う。