「〜し、及び〜する」とするか「〜し、〜する」とするか

「〜し、及び〜する」のように、動詞を「及び」で結ぶ文章は、例規審査をやるまではほとんど書いたことがなかったので、当初は、違和感を持ったものである。
ところで、次に掲げる中央省庁等改革基本法第38条第2号の規定のように「〜し、〜する」とする場合もある。

独立行政法人は、中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)及び中期計画の期間中の各事業年度の業務運営に関する計画(第7号において「年度計画」という。)を策定し、実施するものとすること。

なぜ「〜を策定し、及び実施する〜」とせず、「〜を策定し、実施する〜」としているのか、私が感じていたことをうまく説明するのは難しいのだが、ここで言う年度計画の策定とその実施は、策定してから実施するという一連の行為を時の経過に従って並べているからではないかと思っていた(感覚的には、時系列になっているかどうかというような視点で見ていたのだが)。文章としては、「策定して、〜」というように「て」を補っても意味が通じるかどうかがメルクマールになるのかなと思っていた。
なお、同じ「策定」と「実施」という文言を使った規定は、次に掲げる循環型社会形成推進基本法第9条のような責務規定でよく見かける。

国は、第3条から第7条までに定める循環型社会の形成についての基本原則(以下「基本原則」という。)にのっとり、循環型社会の形成に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

この規定も「及び」がなくてもよさそうなものだが、責務規定の類で「及び」がないものは見当たらなかった。「策定すること」と「実施すること」の二つが責務なのだということを明らかにしたいという意図なのだろうか。