例規の立案で間違いやすい例(5)
今回は、「及び」「並びに」の用い方が間違っているのではないかと思われる規定を見かけたので、それを取り上げます。
その規定とは、次の知的財産基本法第25条の規定です。
(所掌事務)
第25条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
(1) 推進計画を作成し、並びにその実施を推進すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策で重要なものの企画に関する調査審議、その施策の実施の推進並びに総合調整に関すること。
第1号は、明らかでしょう。「並びに」は「及び」とすべきです。
第2号は、結論からいうと、「……企画に関する調査審議並びにその施策の実施の推進及び総合調整」とすべきではないでしょうか。「その施策の」は「総合調整」にもかかっているものと読むべきでしょう*1。もちろん、「その施策」は「知的財産の創造、保護及び活用に関する施策で重要なもの」を指しているわけですから、必ず書かなければいけないわけではありません。それを書かないとすると、「……企画に関する調査審議、実施の推進及び総合調整」となりますが、語感がよくないのが難点でしょうか。
いずれにしろ、法律にしてはあまりにも……。
(参考) 「例規で間違いやすい例」の記事一覧
- 2008年1月18日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(1)」
- 2008年2月1日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(2)」
- 2008年6月27日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(3)」
- 2008年10月10日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(4)」
*1:「その施策の実施の」が「総合調整」にかかっていると考えることもできるでしょう。