例規の立案で間違いやすい例(7)

今回は、号の細分を全部改め、さらにその数が増える事例を取り上げます。
科学技術研究調査規則(昭和56年総理府令第33号)第4条第1号は、その細分としてイからチまでが設けられていましたが、地方税法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成20年総務省令第141号)第8条の規定によりその全部を改め、さらにその細分をヌまでに増やす改正を行っています。そして、その改正規定は次のようになっています。

第4条第1号中……に改め、同号イからチまでを次のように改める。
イ〜チ (略)
リ 大分類Q−複合サービス事業
ヌ 大分類R−サービス業(他に分類されないもの)(中分類九一−職業紹介・労働者派遣業及び中分類九二−その他の事業サービス業を除く。)

これは、各号を全部改め、さらに号の数が増える場合に、「第○条各号を次のように改める」として一括して改正する例にならったのでしょうか。
しかし、同様の改正で政令には次のような例があります。

金融先物取引法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成17年政令第206号)
外国為替令の一部改正)
第2条 外国為替令(昭和55年政令第260号)の一部を次のように改正する。
    (略)
第3条第1項第10号イ及びロを次のように改める。 
イ 金融先物取引法第2条第4項第1号に掲げる取引のうち、通貨の売買取引に該当するもの 
ロ 金融先物取引法第2条第4項第3号に掲げる取引のうち、通貨に係るもの(ハに掲げる取引に該当するものを除く。)
第3条第1項第10号に次のように加える。   
ハ 金融先物取引法第2条第4項第2号に掲げる取引又は同項第3号に掲げる取引のうち、通貨の金融指標に係るもの
(改正前の外国為替令第3条第1項第10号は、イ及びロから成っていた。)

やはり、この政令のような方式をとるべきでしょう。そうすると、上記の省令の改正例は、次のようになります。

第4条第1号中……に改め、同号イからチまでを次のように改める。
イ〜チ (略) 
第4条第1号に次のように加える。
リ 大分類Q−複合サービス事業
ヌ 大分類R−サービス業(他に分類されないもの)(中分類九一−職業紹介・労働者派遣業及び中分類九二−その他の事業サービス業を除く。)

(参考) 「例規で間違いやすい例」の記事一覧