枝条を含む連続する4以上の条の移動

連続する4以上の条を移動する場合には、まず最後尾のものを「第○条を第△条とし」という形で移動を行い、他の3以上の条はまとめて移動する(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P459)参照)。
例えば、第4条から第7条までを2条ずつ繰り下げる場合には、次のような方法がとられる。

第7条を第9条とし、第4条から第6条までを2条ずつ繰り下げる。

しかし、移動する条の中に枝条が入ってくると、多少事情が異なってくる。次のような例がある。

予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律(平成6年法律第51号)
予防接種法の一部改正)
第1条 予防接種法(昭和23年法律第68号)の一部を次のように改正する。
  (略)  
第16条第1項中「第4条、第7条又は第10条の規定により」を「定期の予防接種又は臨時の」に……改め、第3章中同条を第11条とし、第17条から第19条までを5条ずつ繰り上げ、第19条の2を第15条とし、第19条の3を第16条とし、第19条の4を第17条とし、同条の次に次の1条を加える。
  (略)

この例は、第17条から第19条までは、まとめて移動しているが、第19条の2以下の枝条は、1条ずつ移動している。これは、枝条を枝条でない条にする場合には、何条移動するのか明確でないためなのだろう。
したがって、枝条であっても、次の例のようになお枝条の形で移動するのであれば、何条移動するかは明確なので、まとめて移動する例がある。

行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律 
児童福祉法の一部改正)
第87条 児童福祉法(昭和22年法律第164号)の一部を次のように改正する。
   (略)  
第33条の7を第33条の9とし、第33条の4から第33条の6までを2条ずつ繰り下げ、第33条の3の次に次の2条を加える。
   (略)

なお、連続する4以上の号の細分を移動する場合には、例えば「第○条第×号中ホをトとし、ロからニまでをニからヘまでとし、……」といった方法がとられるが(前掲書(P460)参照)、条の移動の場合にも次のように同様の方法がとられたことがある。

不動産登記法の一部を改正する等の法律(昭和35年法律第14号) 
不動産登記法の一部改正)
第1条 不動産登記法明治32年法律第24号)の一部を次のように改正する。
   (略)
第127条ノ2中……を削り、同条を第133条とし、第126条ノ3から第127条までを第129条から第132条までとし、第126条ノ2を削り、第126条第1項中……に改め、同条第2項中……に改め、同条第1項の次に次の1項を加え、同条を第128条とする。
 (略)

しかし、これは、上記の平成6年法律第51号にならって、第126条ノ3から第127条までの移動は、1条ずつ行うべきではないだろうか。
(参考)過去の類似の記事