みなし公務員規定と条例

刑罰に関する事項は、法令に特別の規定のない限り、一般的に条例事項であるとはいえない。
以前、両罰規定における法人格のない団体を処罰する場合の規定に関して取り上げたことがあるが(2012年4月20日付け「両罰規定における法人格のない団体に関する規定」)、これについても同様な考えを記した。
さらに、法律では民間の団体の職員を公務員とみなして処罰する規定を置くことがあるが、条例に同様な規定をおくことができるかについて、山本隆司「『民による行政』の法的統制」『ジュリストNO.1389』は、次のとおり否定しており、これも同様な考え方によるものであると思われる。

地方公共団体が条例により、民間の主体の職員を刑罰法令上の公務員とみなす規定を置くことは、形式的に、刑法等の法律が定める刑罰の要件を条例で拡張することを意味するから、法律に抵触し認められないと解される。

ただし、前掲論文は、引き続き次のように記載している。

ただし実質的に同じ結果となる措置として、条例に刑法等の法律と同様の構成要件を定めて民間の主体の職員に係る身分犯とするのであれば、法律に抵触しないと思われる。

視点を変えると、いろいろと実現させる方法はあるものである。