新旧対照表方式における改め文

以前(2008年3月7日付け記事「続・新旧対照表方式(4)〜改め文」)、例規の改正方法における新旧対照表方式において、どのような改め文を置いているか記載したことがある。
当時、都道府県レベルで新旧対照表方式を用いているのは5県であり、その状況は次のとおりであった。
1 「○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する」という文書に続けて(新旧対照表の前に)、所定の改め文を置く方式
 (1) 詳細な改め文を置く方式(鳥取県新潟県
 (2) 簡易な改め文を置く方式(愛媛県香川県
2 「○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する」という文書と新旧対照表の間には改め文を置かず、新旧対照表の備考欄に所定の文章を置く方式(岩手県
その後、新旧対照表方式を採用する都道府県が増えていたことは承知していたのだが、改めてその方法については確認していなかったところ、最近、kei-zuさんが、鳥取県のやり方が変わったと記載されていたので、改めて確認してみた。
現在は、10府県(岩手県静岡県新潟県大阪府鳥取県香川県愛媛県長崎県佐賀県・宮崎県)が条例の改正において新旧対照表方式を採用しており、その状況は次のとおりである*1
1 「○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する」という文書に続けて(新旧対照表の前に)、所定の改め文を置く方式
(1) 詳細な改め文を置く方式(新潟県
○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する。
次の表の改正前の欄中条及び項の表示に下線が引かれた条、項及び号(以下「移動条項等」という。)に対応する同表の改正後の欄中条、項及び号の表示に下線が引かれた条、項及び号(以下「移動後条項等」という。)が存在する場合には、当該移動条項等を当該移動後条項等とし、移動条項等に対応する移動後条項等が存在しない場合には当該移動条項等(以下「削除条項等」という。)を削り、移動後条項等に対応する移動条項等が存在しない場合には、当該移動後条項等(以下「追加条項等」という。)を加える*2
次の表の改正前の欄中条及び項の表示に下線が引かれた条及び項(以下「削除条等」という。)を削り、同表の改正後の欄中条及び項の表示に下線が引かれた条及び項(以下「追加条等」という。)を加える。
次の表の改正前の欄中下線が引かれた部分(以下「改正部分」という。)に対応する同表の改正後の欄中下線が引かれた部分(以下「改正後部分」という。)が存在する場合には当該改正部分を当該改正後部分に改め、改正部分に対応する改正後部分が存在しない場合には当該改正部分を削り、改正後部分に対応する改正部分が存在しない場合には当該改正後部分を加える。
次の表の改正後の欄の表中太線で囲まれた部分(以下「改正後表」という。)に対応する次の表の改正前の欄の表中太線で囲まれた部分(以下「改正表」という。)が存在する場合には当該改正表を当該改正後表に改め、改正後表に対応する改正表が存在しない場合には当該改正後表を加える。
 → 新旧対照表(左欄:改正後、右欄:改正前)
(2) 簡易な改め文を置く方式(大阪府鳥取県愛媛県香川県長崎県佐賀県・宮崎県)
・ 大阪府鳥取県愛媛県香川県・宮崎県
○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する。
次の表の改正前の欄に掲げる規定を同表の改正後の欄に掲げる規定に下線(大阪府:傍線、鳥取県:、下線)で示すように改正する。
 → 新旧対照表(左欄:改正後、右欄:改正前)(大阪府は、縦書きのため上欄が改正後、下欄が改正前。宮崎県は、左欄が改正前、右欄が改正後)
・ 長崎県佐賀県
○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する。
次の表に掲げる規定の改正部分は、下線の部分である。
 → 新旧対照表(長崎県は、左欄が改正後、右欄が改正前。佐賀県は、左欄が改正前、右欄が改正後)
2 「○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する」という文書と新旧対照表の間には改め文を置かず、新旧対照表の備考欄に所定の文章を置く方式(岩手県静岡県
○○条例(……条例第…号)の一部を次のように改正する。
 → 新旧対照表(左欄:改正前、右欄:改正後)
   新旧対照表の備考欄(静岡県は、表の外)に次の文章を記載
    ・ 岩手県:「改正部分は、下線の部分である。」
    ・ 静岡県:「改正箇所は、下線が引かれた部分である。」
私は、以前は基本的な方向としては1(1)がいいのではないかと記載し、一つの私案を提示した(2008年3月21日付け記事「続・新旧対照表方式(8)〜再び改め文」)。しかし、鳥取県が変更し、その後追随するところはないことからすると、今後、この方法を採用するところがあるとは考え難い。
新しく導入するところは1(2)が多いのだが、改め文の書き方は統一されていない。統一的なものになるのは難しいだろう。
(参考) 過去に新旧対照表について記載した記事

*1:かつて取り上げた5県のうち、鳥取県以外で大きく方法を変えていたところはなかった。

*2:条等の移動がない場合は、『次の表の改正前の欄中条及び項の表示に下線が引かれた条及び項(以下「削除条等」という。)を削り、同表の改正後の欄中条及び項の表示に下線が引かれた条及び項(以下「追加条等」という。)を加える。』というように少し簡略な表現になる。